横須賀市は先月29日から今月4日まで、横須賀リサーチパーク(YRP)内に拠点を置く(株)ニフコ、東日本電信電話(株)と連携し、高齢者の見守りに関する実証実験に取り組んだ。認知症の高齢者などが行方不明になった際に、あらかじめ靴などに搭載したセンサーを使い、居場所を特定するもので、無線技術を活用して社会問題の解決を目指す。
厚生労働省によると、2025年には65歳以上の高齢者のうち認知症患者が700万人を超え、国内総人口の5人に1人が認知症になるという推計が発表されている。認知症高齢者が行方不明になるケースも多く、市では対象者を迅速に捜索する「横須賀にこっとSOSネットワーク」などの対策を講じてきた。
高齢者の見守りに関する新たなシステムを構築するため市は今年2月、YRP内にある2社と連携し、無線と電源不要のセンサーを活用した実証実験へと踏み切った。
実施にあたり、市は横須賀中央駅や市役所、さいか屋横須賀店(中央地区ボランティアセンター)などの施設、店舗に受信機の設置を依頼。
(株)ニフコは受信機に電波を発信する専用センサーを製作。サイズは約3cm角の極小で、多くの電力を消費するGPSとは異なり、太陽光や振動により自己発電する仕組みだ。これを靴と杖、クリップに搭載したものを市に提供。靴は踏むたびに、杖とクリップは数秒毎に電波を飛ばし、屋外で最大300mと広範囲での無線通信ができる。
この3つのアイテムを身につけた市職員10人が期間中、市役所周辺を巡回。東日本電信電話(株)が対象者一人ひとりの現在地や緯度経度、時間、行動パターンをデータ化して分析。試験的に作成したウェブサイト内に情報を集約させ、センサーから流れた電波が正常に稼働していることや搭載したアイテムの中で最適なものはどれかを技術的に検証していくという。
集約されたデータは、パソコンやスマートフォンで確認できることから、今後、行方不明者の家族へメールなどで対象者の居場所を通知するなど活用が期待される。
市担当者は「認知症高齢者だけでなく、子どもの見守りや災害時の安否確認などにも応用できる。地域課題の解決に向け、システムの実用化、商品化する会社が出てきてほしい」と話す。
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