横須賀市の上地克明市長は今月15日、世界規模で拡大している海洋プラスチックごみの問題に積極的に関与していく方針を示した。「海洋プラスチックごみ対策アクション宣言」を表明。解消に向けた行動を起こすとともに市民の意識啓発に努める。特に次世代の海洋教育に注力、持続的な取り組みに発展させる。上地市長が公約に掲げた「海洋都市構想」の実現に向けた取り組みの一環。
海洋に漂うプラスチックごみをエサと間違えて飲み込み、死んでしまう海洋生物が近年、後を絶たない。こうしたことが生態系に計り知れない影響を与えるだけでなく、漁業、生活環境、観光の分野にも深刻な影を落としている。
三方を海に囲まれた横須賀市も例外ではなく、市民一人ひとりが「自分ごと」として考え、行動をすることが重要と市の宣言にも謳われた。
具体的な取り組みとして、意識啓発を中心とした活動を展開する。主に小学生を対象にした学習機会の提供を関連団体と連携して実施。体験プログラムを中心とした「横須賀海洋クラブ」を立ち上げ、海を総合的な視点で学んでもらう。
このほかに市民や事業者が実施しているビーチクリーン活動などを市との協働で行っていく。
小学生対象に海洋教育
同宣言に合わせて発足した「横須賀海洋クラブ」では、小さな”海のスペシャリスト”育成をスローガンに掲げ、海について広い視野で学べる体験型プログラムを展開する。全5回の連続講座で各分野の専門家が講師を務める。日程と活動場所は以下の通り。
【11月3日(祝)】海洋プラスチック調査/天神島臨海自然教育園【11月21日(土)】東京湾フェリー体験乗船/久里浜港・金谷港【12月12日(土)】JAMSTEC深海はかせツアー/JAMSTEC横須賀本部【1月16日(土)】新江ノ島水族館「飼育員さんからの挑戦状(海の生きものクイズ)」/新江ノ島水族館【2月13日(土)】博物館ツアー/横須賀市自然・人文博物館
対象は市内在住または市内小学校に通う4〜6年生。募集人数は20人程度(応募者多数の場合は抽選)。参加費は全5回4千円。10月7日(水)締切。
申し込み・詳細はホームページ「横須賀海洋クラブ」で検索。
JAMSTEC研究員「リサイクルは9%だけ」
今月20日には、横須賀に本部拠点のある海洋研究開発機構(JAMSTEC)の中嶋亮太研究員が海のプラスチックごみについて解説する講演会が総合福祉会館で開かれた=写真。環境意識を高めることを目的に、全国各地で実施されている日本財団「海と日本プロジェクト」の企画。集まった親子約80人が熱心に耳を傾けた。
世界で1年間に3億3500万トンのプラスチックが生産されており(2016年)、これまでに人類が手掛けた総量は83億トンに上る。内、90%が焼却または廃棄処分され、リサイクルは9%に留まり、海洋にも流失しているとした。特に問題なのがプラスチックが破損してできた「マイクロプラスチック」。これが海洋生物の生態系を破壊しており、人体への影響も心配されていることを伝えた。
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