震災がれき受け入れ 地元住民「反対」鮮明に 黒岩知事が大楠連町に説明
東日本大震災で発生した災害廃棄物(震災がれき)の焼却灰を、芦名にある産業廃棄物最終処分場「かながわ環境整備センター」で受け入れる方針を示してい る黒岩祐治県知事は今月15日、地元住民向けの説明会を行った。会場の芦名コミュニティセンターには510人が詰めかけ(県発表)、受け入れ反対の立場を 強く訴えた。時折怒号や野次が飛び交い、県と地元との溝が改めて浮き彫りになった。
冒頭、黒岩知事は東京都が岩手県宮古市の震災がれきを受け入れている事例や放射性物質の測定方法などを説明した。横浜・川崎・相模原の3市で焼却した後、灰は防水性のある「フレコンバッグ」に収納。同センターに運搬し、埋め立てるとした。焼却灰の量は年間1万トンの見込み。埋め立て後は、空間線量率や地下水の放射性物質濃度を測定し、万が一漏れた際にはセンサーが反応するなどと安全性を強調した。
しかし、その後の質疑応答では、同センターのある芦名地区を中心に、受け入れに反対する住民が声を荒げながら意見をぶつけた。怒号が飛び交い、収拾がつかない場面もあった。
地元の合意を得た上でがれきを受け入れるとの立場を表明する知事に対して、住民側が「何をもって合意とするのか」と強い口調で質問すると、知事は同センター建設時の10年前に、県と芦名町内会が交わした「協定書」の改定が前提になると答えた。この協定書では、同センターで受け入れる廃棄物を「県内の産業廃棄物」に限定している。「県外」の「災害(一般)廃棄物」については、いずれも規定されていない。
また、放射性物質に関しても、地元と県では認識が異なる。県は、受け入れの条件としている1キログラムあたり100ベクレル以下は「放射性物質として取り扱わない」(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律)と認識しているのに対し、住民側は「安全だとは思っていない」「5年後10年後に子ども達がガンになった場合に、どのように保障されるのか」となど反発した。
全市対象に「対話の広場」
住民側からは、放射性物質の影響を懸念するだけでなく、「協定外」の受け入れを地元への事前説明無しに表明した知事に対して、論理的な説明を求める声もあったが、両者の溝は埋まらなかった。知事は「東北地方を救いたいという気持ちは共有できている」と述べ、「(がれきの撤去を望む)被災地の人々の声に何とかして応えたいという気持ちは変わらない。知恵を出しながら、協定書改定というハードルを越えるために努力したい」と改めて理解を求めた。
今日20日の午後7時からは、横須賀市立総合福祉会館で黒岩知事との「対話の広場」が開かれ、がれき受け入れに関して参加者との意見交換も行われる。事前申し込み制で、県環境農政局企画調整課によると16日時点で定員に達している。
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