横須賀市は、近年激甚化する風水害や発生確率が高まる大規模地震に備え、災害等の緊急事態に対する危機管理体制を強化している。避難所開設や運営方法の見直しを図り、防災に関係する担当部局以外の職員も初動対応や後方支援にあたる。危機管理課は、「現状ありきではなく、常に最善を考えて今後も見直していく」としている。
近年、全国各地で頻発し、人命や財産に大きな被害を及ぼしている自然災害。社会環境の変化や感染症流行に加え、多様化・複雑化する災害リスクを踏まえた”災害に強い地域づくり”が行政の喫緊課題となっている。
こうした背景を受けて横須賀市は今年度から、災害発生時の状況や地域の実情に即した災害対応力の強化に乗り出した。
今年4月の行政組織改正では、「より迅速な意思決定及び庁内外への情報伝達を行うため、危機管理体制の強化を図る」として、同課を市民部から市長直下の市長室に移管。さらに危機管理監(担当課長)を新設して、災害対策本部事務局の指揮、防災対策などについて指導助言する元海上自衛隊幹部を3年の任期で配置した。
支援職員を市内配置
早期かつ円滑に、災害時避難所の開設や運営が進められるよう、体制を改めた。
集中豪雨や台風による土砂災害、河川の氾濫・浸水害などの危険がある場合に開設される「風水害時避難所」は、市内287施設(2020年9月現在)。そのうち体育会館4カ所と18のコミュニティセンター、計22施設に市役所全部局をそれぞれ割り振った。これにより、担当する施設が避難所となった場合、該当部局職員が参集。開設・運営支援を行い、避難者を受け入れるという。
また、自宅療養する新型コロナウイルス感染者や濃厚接触者については、感染拡大防止の観点から、市保健所が入るウェルシティ市民プラザ2階の逸見青少年の家(逸見みんなの家)を専用避難所に指定。保健師が多数在籍する健康部が対応にあたる。同課は、「療養者も非感染者も感染リスクを恐れて避難をためらうことがないよう、まずは命を守る行動を最優先にとってほしい」と周知を呼びかけている。なお、5月末までに各部局で担当避難所の現地確認やマニュアル修正が終わっており、人事異動による担当変更にも適宜対応するという。
また、震災時避難所(市内70カ所)については、これまで4人割り当てていた避難所支援班員を15人前後に増員。全職員のおよそ3分の1、消防や土木、上下水道といった応急復旧活動に携わる職員を除いた約1千人を割り当てた。おもに市内と三浦半島近隣在住者が対象で、個々の居住地に近い避難所に配置され、今後、現地研修や地域の訓練に参加して、平時から顔の見える協力体制を構築する。
「今まで以上に踏み込んだ見直し。『市職員が先頭に立って市民の命を守らねばならない』との、市長の強い思いが反映されている」と同課。
訓練やマップ作成も
市はその他にも、災害活動細部計画や災害対策本部の運営体制を見直し、今年度実施する訓練を通じて改善点を検証。結果を市全体の防災体制に活かす。
また、津波ハザードマップの改定と新たに高潮浸水想定区域を記したハザードマップを作成。万一の場合、それらをもとに避難行動ができるよう、自主防災組織や地域運営協議会などと連携を図っていくという。
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