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三浦版 公開:2015年2月13日 エリアトップへ

三浦の散歩道 〈第77回〉 みうら観光ボランティアガイド協会

社会

公開:2015年2月13日

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県道沿いのくちめき地蔵尊
県道沿いのくちめき地蔵尊

 前回に訪れた三崎警察署下の「六十六部巡拝祠」から引橋方面に県道を3百メートル程行ったところに、「くちめき地蔵尊」を祀る祠があります。道の反対側に大きなマンションがあり、その前の道辺に水仙の花が咲き、よい香をもたらしています。

 その路傍に「くちめき地蔵」は祀られています。三浦市観光協会が発行している『三浦の伝説と民話』の中に「くちめき地蔵尊」とあり、次のように記されています。

 『北条早雲は小田原の大森氏を倒して城主となり、転じて矛(ほこ)先を三浦氏に向けた。そして、間者(かんじゃ)を三浦に放った。ある日、間者の一人が、百姓姿で引橋に近い6万本(ろくまんぼ)の坂道で、老夫婦が出している茶店にあらわれた。百姓は話上手だった。

 人のよい老夫婦は、自慢気に新井城の千駄矢倉の糧秣(りょうまつ)(兵糧と馬のかいば)のことや、油壺の水軍の配備、城ケ島の防備、はては三崎城の堀の配置までしゃべってしまった。後日その百姓が捕えられ、敵の間者と知れたとき老夫婦はひどく驚いたが、後の祭りだった。老夫婦は城主に申し訳ないと心中してしまった。里人は、老夫婦を憐れんで、茶店の跡に地蔵尊をまつって霊を慰めた。地蔵尊には見ざる、聞かざる、語らざるの三猿が彫まれている。お喋りを戒めたのである。地蔵尊は「くちめき地蔵」と呼ばれている。くちめきは百日ぜきのことで、なぜ百日ぜきに御利益をもたらすのか詳(つまび)らかではないが今でも子ども連れの参詣人が絶えない。さみしかったこの道も今は広い県道となり、6万本の谷間も埋め立てられ、地蔵堂は輻そうする自動車のほこりにまみれている』と、以上のように書かれています。

 筆子の記憶では、以前、マンション側に「地蔵尊」は祀られていたのではと思うのですが…。現在の祠はコンクリート製で、手前の花台に「卍」の印が彫られ、奥の右側に一体の地蔵尊と剣頭型を思わせる石塔に、各2体ずつ、地蔵尊と思われる尊像が3基祀られています。6体の地蔵尊となれば「六道地蔵尊」とも考えられます。

 祠の右端に「奉寄進」と刻され、「昭和10年1月吉日、福井貞吉」と記されています。さらに右側の外に石塔が1基あり、そこには「犠牲大供養塔」とあり、「大正十四年六月二十七日」と日付が彫られています。何の「犠牲」かは不明ですが、日付けからみると、大正12年の「関東大震災」を指すのかなとも思ったりします。

 いずれにしても、多くの人々が通る路傍に建てられている仏像に手を合わせ、日々の無事を願う殊勝な心掛けも大切かなと心に言い聞かせて「くちめき地蔵尊」に別れを告げました。
 

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