国内各地で歌唱指導を行うゴスペルシンガーの 長谷川 繁さん 諸磯出身 29歳
歌う楽しさ、声に乗せて
○…「歌は人と人とを繋ぐ架け橋」。ゴスペルの指導者・ソロシンガーとして活動する中で、自分なりにたどり着いた確信から歌が秘める見えない力を熱く説く。世代や性別、言語、技量は関係ない。いかに楽しむかが第一義と、自らの歌声で範を示してみせる。1人の声は小さいかもしれないが、聴く者の心に響いた時、長年築いた価値観をも一瞬で変えてしまう面白さがこの仕事にはある。
○…特別な習い事をしたわけではないが、音楽を嗜む両親の影響で幼い頃から歌うことが好きだった。旧上原中学在校時には、合唱やリコーダーの授業でも才能の片鱗を見せ、「本格的に音楽を学ばないか」と教師から薦められたという。大学では、ジャズボーカルを専攻。教員免許も取得したが、生徒らの興味の有無に関わらず学校科目の枠に当てはめて教えることに疑問を感じ、進路を変えた。
○…音楽で生計を立てるには、相応の時間と努力を要する。「食事するお金がなく、水を飲んで空腹に耐えた日も」。今でこそ、好きなことを仕事にする大変さとありがたみを噛みしめることができるが、駆け出しの頃は、大手企業に就職した高校時代の友人らと自身を比べては、生活や精神的な余裕の差に嫉妬や悔しさを募らせたこともある。「たとえ貧しくとも、心は豊かでありたい。この道で自立できると証明したい」。ハングリー精神こそが原動力だった。
○…昨年12月、三崎でゴスペルサークルが立ち上がり、指導役として白羽の矢が立った。国内各地で延べ800人以上を教えるなど実績と経験を積んだことで、次第に「地元にも還元したい」と思っていた折の話だった。現在は月に1度、練習のために三崎に通うことが新たなライフワークとなっている。「歌は楽しい」。自身が体感した醍醐味を1人でも多くの人に伝え、「人生をより豊かなものにする手伝いができたら」。意欲と使命感を漲らせた。
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