9/22から催される「短歌とデザインの絵墨書のコラボ展」に自作の詩歌を出品する 秦 孝浩さん 上宮田在住 73歳
短き言の葉で魂紡ぐ
○…一行の短い詩に季節の移ろい、風景、自らの胸のうちなどを表現する俳句や短歌。幾千もの言葉の中から一語を選び出し、紡ぐ楽しさに魅了されて半世紀以上が経つ。その作風はときに突き刺さるように鋭く、ときに沁み込むように柔らかく。聞き手の脳裏に心象風景を鮮やかに描かせる。「自然に敏感になって観察しながら歩くこと。そして、何事にも好奇心旺盛でいることが大事」。創作の極意は何気ない日常にある。
○…初めて俳句を詠んだのは、小学1年の国語の授業だった。教室から見える親しみ育った瀬戸内の海の寒々しく寂しげな表情を歌うと、教師から賞賛された記憶が思い起こされる。高校進学と同時に郷里の広島からは離れたが、繋がりを求めるかのように今でも海を主題に選ぶことが多い。9年ほど前に三浦へ移住。三浦海岸のほど近くに居を構えたことで創作意欲はさらに高まり、短歌にも取り組み始めた。メモ帳を携えて散歩に繰り出しては、思い浮かんだ言葉を残すのがライフワークとなっている。
○…新聞の投稿欄に応募し、年間大賞に選出された1つの短歌が1人の書家の目に留まった。「私と”飛鳥”をテーマに短歌と書で1つの作品をつくり、コラボレーション展をやらないか」。言葉が引き合わせた思わぬ出会いに胸が高鳴った。創作のヒントを得ようと奈良県を訪れ、万葉集にも詠まれた大和三山などを巡ったのは今年6月。古(いにしえ)の歌人と同じ土を踏み、心のまま約100の詩を編んだ。
○…普段は三浦や横須賀を中心に3つの市民サークルを掛け持つ指導者として普及に努めている。堅苦しいイメージが先行しやすい俳句と短歌の世界。「上達のコツは多作多捨」と話しながらも優れた作品づくりだけにとらわれず、日本語ならではの豊かな表現を磨き、他者との鑑賞や批評を楽しんでもらいたいとの思いも強い。歩いて、考えて、仲間ができる。「心身の健康にとてもおすすめですよ」
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