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三浦版 公開:2016年9月9日 エリアトップへ

三浦の散歩道 〈第114回〉 みうら観光ボランティアガイド協会

公開:2016年9月9日

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飯森神社の鳥居と本殿
飯森神社の鳥居と本殿

 引橋から三浦海岸に至る国道一三四号線の「半次」の信号を旧「飯森児童会館」方面へ八十mほど進むと左側に急坂があります。その坂を下ると道は三叉(さ)になっています。真っすぐ進むと「妙音寺」方面へ至ります。以前は、この辺り水田地帯でしたが、現在では住宅地になっています。ここでは道を左に入ります。すると左側にコンクリート造りの「飯森神社」と表示された門柱が見えてきます。それを入って五〇mぐらい行きますと、途中の山側に小さな石の祠があります。さらに歩を進めると、少し開けた道の右側に朱塗の明神鳥居があり、「飯森神社」と書かれた額束(がくづか)の下を経て約三十段の石段を上がったところに本殿があります。『新編相模風土記稿』には「子神社」とあって「大黒天石像を置、正徳元年(1711)建、妙音寺持」とあり、『三浦古尋録』では「飯森乳母(ウバ) 神ノ社」と記しています。さらに、昭和十年発行の『三浦郡神社由緒記』には、「初声村下宮田飯森鎮座」の神社として次のようにくわしく記されています。長文ですが、全文を転載させて戴きます。

 「祭神 大己貴命(おほなむぢのみこと)、萱野比売命(かやのひめのみこと) 例祭 十月十四日祭神大己貴命は出雲大社の祭神にて素盞鳴尊(すさのおのみこと)の子に当らせ給ひ、大国主命(おおくにぬしのみこと)、又は大物(おおもの)主命、大名持(おおなむち)命、八千矛神(やちほこのかみ)等数々の御名を称(とな)へ奉る神である。命(みこと)は天孫降臨以前経営し給ひし国土を天神の御諭(おさと)しに随(したが)ひ皇孫に献じ、後(のち)出雲杵築の宮に隠退し給ふたのである。萱野比売命は野槌命(のづちのみこと)とも申し上げ三島社の祭神大山祗命(づみのみこと)の妃神に当らせ給ひ大山祗命の山を司り(つかさど)給ふ神であらせられるに対して野を司り給ふ原野の神で、木花咲夜毘売命(このはなさくやひめのみこと)(注、富士山の神)の御母神に当らせ給ふのである。当社の祭神大己貴命は正徳元年飯森の住人高梨角右衛門勧請すと伝へられ子(ね)の神社と称してゐた。又萱野比売命は慶長年間(1596〜1614)本村妙音寺住僧賢栄法印の勧請と伝へ、もと姥(うば)神社と称したるも明治四十四年(1911)十月子の神社に合せ祀り両社を総称して飯森神社といふに至ったのである。」と記し、さらに「飯森の丘上竹林に蕃(おお)はれて境内広きにあらざれど神さびた殿宇である。」とも書かれていて、「飯森の丘上」が、『三浦古尋録』に述べている「此森処々エ見エル海上ヨリ船々目当ニスル森ナリ」と言うことなのでしょう。また、かつての「子(ね)の神社」の頃に祀られた「大黒天像」は同音である「大国天像」すなわち、「大国主命」を祀ったものでしょう。なぜならば、「大黒天」はインドの神様で七福神の御一人です。かつては「戦争・闇黒」の神でしたが、仏教に取り入れられてからは「生産豊饒(ぶにょう)」の神に変化したというのです。そのように見れば、同音でも「野を司る姥(うば)神」と共に、農業を営む人々に厚く信仰される所以(ゆえん)なのでしょう。

(つづく)
 

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