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三浦版 公開:2017年11月17日 エリアトップへ

連載 第4回「『三戸』と言うところ その1」 三浦の咄(はなし)いろいろ みうら観光ボランティアガイド 田中健介

公開:2017年11月17日

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三戸浜の風景
三戸浜の風景

 明治四十三(1910)年七月に発行された『相州三浦三崎案内』のうち、「相模灘の沿岸」の中に、次のように書かれています。「(網代)渡船で対岸に渡って嶮(けは)しい山を一つ越えれば。三戸に出る全村漁農を業とし人皆惇朴(じゅんぼく)。浜は漸(よう)やく(やや。しだいにの意)東西に迂曲(うきょく)(まがりくねるの意)って五六丁(ごろくちょう)。(約七百メートル程)。砂は濃海老茶色に潤(うるお)ふて緑碧(りょくへき)たる海水を湛(たた)へ眺望比(なら)ひなし交通不便の欠点を除く外(ほか)風光(ながめ)に於(おい)ても海水浴場としても決して葉山等(など)に劣るまいと考へる。」とあり、交通不便も、京急線「三崎口駅」から徒歩も可能になっています。

 『二十五年のあゆみ・三浦市区長会』(昭和五十七(1982)年発行)の中で、「郷土の誇り」として三上末次氏が次のように記しています。「千代の松と共に郷土の歴史は古い。(中略)いまだに残る郷土の歴史に、私達三戸部落では、五百数年前の三戸三家、今も三戸小公園に石碑が残る三戸友澄主従が祖先と伝えられている。又、二年前に発掘された三戸入口の赤坂遺跡、私も見学致しましたが、本当にびっくりせずにおられなかった。昔あの付近に住んでいた人達の生活が思い浮かべられる。(後略)」と述べておられます。

 他に、「元服式」が十八年ぶりに復活し、町内こぞって三日間盛大に行われたとのことや、三戸の祭りも自慢の一つに上げ、若衆が砂浜をねり歩く光景を、田舎ならではの祭りとしています。

 さらに、八月のお盆は、国の無形文化財に指定されているもので、『無形民俗文化財マップ』の説明文によりますと、「八月十六日、初声町三戸ではお盆にお迎えした精霊(オショロ様)を西方浄土に送るため、地区ごとに竹と麦わらで4m程の船を作り、花飾りや御幣、施餓鬼旗を立て、そこに麦わらを円筒型に束ね、色紙で着飾ったオショロ様や供物を乗せます。」として、子供たちが海に泳いで沖のかなたへと運びます。

 三戸の地区は、北から、「神田区」・「北区」・「谷戸上(やとがみ)区」の三つの区があります。この三つの地区に分かれて「お精霊流し」が行われていました。かつては「上の里」と「谷戸の里」とに別れていましたが、現在では「谷戸上区」となっています。

 三浦市民俗シリーズ『海辺の暮らし―三戸民俗誌―』は、昭和六十一(1986)年の「民俗調査を実施した結果の報告とのことですが、なかでも「三戸の屋号」が圧巻で、番地に則して、一五九軒の屋号が調べられています。それによると、苗字が地区によって異なっているようです。例えば、進藤や石田姓の地区、沢村や山崎姓のところ、三上や田中・原姓のところ等の特徴がみられるのです。

(つづく)
 

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