三浦半島 草花歳時記 第12回 「アオツヅラフジ」の種の模様が 文・写真 金子昇
三浦半島の林縁で普通に見られる「アオツヅラフジ」(青葛藤)の話。アオツヅラフジはつる性の植物で、夏から秋に目立たない黄白色の小花を穂状に多数つけます。つるは青色で乾燥すると黒く丈夫になるので、葛籠(つづら)を編んだり、細いつるに鳥もちを塗ってカモを捕らえる道具「つるりょう」(葛猟)等、いろいろな細工物に利用されます。万葉集には「黒葛」(つづら)と表現され、実際葛籠に使われていたようです。
秋から初冬には、瑠璃色をした球状の果実をたくさんつけ、熟すと黒色に変わり、表面には粉白を帯びてきます。ただ雌雄異株のため、果実がつかない株もあります。
種子の大きさは約5mmですが、表面は興味深い模様をしてユニークです。渦巻き状のような模様が、2〜1億年前の中生代の化石「アンモナイト」によく似ているからです。この模様から日本では別名「神エビ」(エビに見立てた)、西洋では「月の種」とつけられました。
有毒植物ですが、根を乾燥させ漢方薬に利用しています(素人の処方は厳禁)。
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