三浦半島 草花歳時記 第17回 草餅に使う「ハハコグサ」 文・写真 金子昇
草餅のシーズンが近づいてきました。今でこそ草餅のつなぎとして使うのはヨモギですが、本来は軟毛が密で、餅に絡まって粘り気を出す「ハハコグサ」を利用していました。桃の節句にハハコグサの餅(母子餅と呼ばれた)を食べる習慣は、平安時代に中国から伝わりましたが、母子を杵でつくのは縁起が悪いということから、室町時代になってヨモギに代わり現在に至っています。
ハハコグサの名の由来は、花に白色の毛が立っている様子に見えるので、「ほうけ立つ」から「ホウチグサ」「ホウケグサ」そして「ホウコグサ」(ハハコグサ)と転訛(てんか)してきました。その昔、中国から農作物に付着して、朝鮮半島を経て日本へ渡った史前帰化植物といわれています。
春の七草ではハハコグサは「ごぎょう」または「おぎょう」(御形)といわれてます。邪気を払う厄払いの3月の節句には、草(ハハコグサ)や紙で人形を作り、自分の身の穢れや厄払いを託して川に流していました(後の「流し雛」)。この人形も次第に家の中に保存され、飾られるようになったのが現在の「雛人形」です。
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