三浦半島 草花歳時記 第27回 枝に餅を刺して祝う「ミズキ」 文・写真 金子昇
1月15日(小正月)には、豊作祈願のために多様な形のダンゴ(または餅)を作り、「ミズキ」の枝に刺した「繭玉」(または餅花)を飾る風習があります。島崎藤村の「千曲川スケッチ」の中にも、「ミズクサ(ミズキ)の枝に繭の形をしたダンゴを飾る」とあります。方言名は「ダンドノキ」。
ミズキは「水の木」の意で、春先の成長盛んな時期には水分を多く取り込むため、枝を切ると水が滴るほどで、別名「アメフリ(雨降り)」と言います。また、葉の粉が体につくと痒くなるので、別名「ハシカミズ」とも言います。
ミズキの枝は昆虫や鳥たちによる花粉や種子の運搬に好都合な伸び方をします。新芽がある程度伸びていくとその枝は成長を止め、その下方からまた新たな芽を伸ばし、これを繰り返していきます。そのため上空から見ると水平に敷き詰められた枝葉の層ができ、その上に白い花を咲かせます。この景観は昆虫や鳥たちには、水面に咲くハスの花のように見えるので、花の蜜や熟した実を一目で見つけやすくなるでしょう。
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