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三浦版 公開:2020年6月26日 エリアトップへ

連載 第61回「『三浦古尋録』より」 三浦の咄(はなし)いろいろ みうら観光ボランティアガイド 田中健介

公開:2020年6月26日

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百万遍念仏の図(「廣文庫」より)
百万遍念仏の図(「廣文庫」より)

 前回に記載された『新編三浦往来』のなかに、海南神社に於いて正月十六日に「大百万遍ヲ興行、賑ナルコト大祭ノ如シ」とありましたが、それに関わることが『三浦古尋録』(文化九年/1812年刊行)の中に「百万遍興行」のことが記されています。

 「昔、コノ浦ニテ無名ノ大魚アガリ、切リ売(うり)ニシテ商(あきな)フナリ。」とあって、さらに「ソレヨリ江戸肴問屋(さかなとんや)ヘ送リ、残ラズ切リ売リセシトコロ、ソノ魚ヲ食(しょく)ス者悉(ことごと)ク疫病(えきびょう)(悪性の伝染病のこと)ヲ煩(わずら)フナリ。」と、記され、種々の医薬を尽くしたが、効果がなく、快方することがなかった。とも、記されています。

 その頃、奥沢(現在の世田谷区)にある九品(くほん)寺の珂磧(かせき)上人の化益(かえき)(ご利益)が多くの人を救(すく)っている話を聞いたので、珂磧和尚(おしょう)

を招請して、「百万遍を執り行ったところ、たちどころに快方に向かったと言うことで、此(こ)の三崎においても、江戸からの沙汰(さた)(報告)で、正月十六日に「百万遍」を行ったところ、ことごとく平癒(へいゆ)(病が治ること)した。と、あります。

 『古尋録』には、さらに、「昔ハ誠ニ信心第一ノ百万遍ナリ。今ハ少年が多く集リテ賑(にぎや)カナルコト祭リノ如(ごと)シ」とも、書かれています。

 「百万遍」とは、どの様なものか。辞書で調べてみますと、次のように書かれています。

 「『百万遍念仏』のことで、極楽往生を祈願して、七日間に100万回念仏を唱(とな)えること。」とあり、さらに、浄土宗で衆僧または信徒が集まり、弥陀の名号を唱えながら1080顆(か)(千八十個のつぶの大数珠(おおじゅず))を百回繰り回す仏事。」とあります。

 『廣文庫』(名著普及会)によりますと、『近代世事談』を引用して、次のように記しています。「後醍醐帝の鎌倉時代、元弘元(1331)年七月に疫病がはやり、知恩寺の空円善阿(ぜんあ)上人に勅(ちょく)(みことのり)して、厄難を救ふべきの行法を勤(つと)めさしむ」とあって、この時、善阿上人は、弥陀の尊号を百万遍念じ称(とな)えたのです。時に応じて災癘(さいらい)(流行病)はたちまちに除かれ、人民は安楽を得た。と言うのです。そして、その後、室町期の文安六(1449)年、寛正二(1461)年、同四(1463)年、文明元(1469)年に、天下疫疾が流行したそうです。そのとき、天皇の勅で百万遍を修した。と言われています。

 現在、「新型コロナウイルス」が流行しています。なんとか、「百万遍」の唱えをもって撃退していただきたいものです。

(つづく)
 

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