三浦半島 草花歳時記 第13回 マジックテープの原型「イガオナモミ」 文・写真 金子昇
「イガオナモミ」は道端、空地、農地、海岸等の明るい場所を好んで生育するキク科の外来種(ヨーロッパ原産)です。楕円状をした果実の全表面には、先端が鉤状の棘を多数持っているため、知らないうちに衣服に付着してしまう厄介な植物です。
名の由来は、毬(イガ)を持つ「雄ナモミ」で、「ナモミ」とは衣服に「なずむ」(引っかかる意)ことから「なもみ」となりました。同じ仲間に小型の「雌ナモミ」があります。
イガオナモミは近年急激に増え、それまで国内で広く繁殖していたメキシコ原産の「オオオナモミ」を凌ぐ勢いで繁殖しています。
果実の棘をルーペ(虫眼鏡)で見ると、大きな棘の中に、更に細かい小さな刺が密集しているのがわかります。これは他のナモミ類には見られず、まさに「イガにイガがある」状態です。
スイスのあるエンジニアが犬と散歩中、この実がたくさんついたことをヒントに、「マジックテープ」を発明しました。マジックテープは和製英語で、欧米では「ベルクロー」といい、ベルベット(ビロード)とクローシェ(鈎針)の合成語です。
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