2月12日開催の格闘技イベント「Krush.85」に出場するプロキックボクサーの 里見 柚己さん 入江出身 20歳
世界見据え、磨く心技体
○…「夢へ近づくための大事な試合」。闘志を露わに、3日後に迫った一戦への思いを言葉少なに語る。対戦相手は人気実力ともにトップクラスの選手。しかし、相手にとって不足はない。日々、過酷な練習メニューをこなし、己の限界を越えてきた今、負ける理由はどこにも見当たらないからだ。仕上がりは万全。「早く試合がしたい」。開始のゴングが待ち遠しいとばかりに満面の笑みを見せた。
○…格闘技が好きだった父親の影響で、幼少期からプロレスを見て育った。友人の多くはアニメのヒーローやスポーツ選手に憧れる年頃だが、傍目もふらず卒園アルバムには「プロレスラーになりたい」、小学校の卒業文集には「K―1の世界チャンピオンになる」と夢を寄せた。小学5年から本格的に習い始めると、持ち前の運動神経と負けん気で才能が開花。「強くなりたい」。がむしゃらにただ一心。「そういえば、若宮神社のわんぱく相撲も負けが悔しくて泣いていたっけ」
○…アマチュア大会最優秀賞などの好成績が認められ、高校1年にしてプロへ転向。意気揚々と迎えたデビュー戦だが、様々な感情が鮮烈に蘇る。憧れの後楽園ホールのリングに立てた興奮、プロの格の違いを見せつけられて無念の黒星を喫した忸怩の念。順風満帆と思われたなかでの挫折は、どこかで高を括っていた自分に現実を知らしめるには十分だった。「今となっては意味のある負けだと思う」
○…成人式を先月迎えたばかりの弱冠二十歳。自身曰く「荒々しく、やんちゃだった10代」を経て、自覚と責任が芽生えてきた。両親、友人、仲間、恩師、ファンへの感謝の言葉が口をつく。また、ともに切磋琢磨し合う同門選手に初声中時代のクラスメートがいることもいい刺激になっているという。「早く三浦にチャンピオンベルトを持って帰ってきたい。それが地元への恩返しになるのかな」。幼い頃の夢へと向かい、愚直に戦い続ける。
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