平塚音訳赤十字奉仕団の委員長を務める 岩田 由紀枝さん 豊原町在住 66歳
耳での読書を楽しんで
○…「本屋に並んでいる視覚障害者の方向けの本って、とても少ないんですよ」と、真剣な表情で指摘する。視覚障害者の読書をサポートしようと、書籍の内容を音声化したCDを市内の図書館や盲学校に届けている。団体発足から8年間で音訳作品は500冊以上になる。「私たちの声を待ちわびている人がいる限り、情報を届け続けたい」と生き生きと語る。
○…結婚を機に平塚へ移住した。主婦業をこなしながら、音訳ボランティアを20年以上続けている。活動をしていて最も心に残っているのは、盲学校での対面朗読。寄宿舎で生活する生徒のもとへ毎週通い、教科書や小説の音読をしたり、勉強のサポートをしてきた。「将来の夢や相談事、大切なことを私に話してくれるのが何より嬉しかった」と、まるで母親のように慕われた日々を振り返る。
○…音訳するのは、話題の小説や料理本から、『広報ひらつか』や『ひらつか議会だより』などの市の広報誌まで幅広い。時には学生向けの教科書を音訳することもあり、「誤りがないよう、人名や地名などの読み方は2冊以上の辞書を使って念入りに調べる」と苦労を明かす。録音はメンバーがそれぞれの自宅のパソコンで行うそうで、「上下巻ある小説だともう大変。完成までに3ヵ月かかることもあるのよ」と話す。現在、ボランティアスタッフは29人。「一緒に活動してくれる人を大募集。若い世代もどんどん参加してほしい」と呼びかけている。
○…「平塚はとても充実したまち。美術館や総合公園など家族で楽しめる施設もあるし、催しものも多い」とにっこり笑う。そんな平塚での暮らしをより楽しんでもらおうと、市内の話題を詰め込んだCD『しおさい』を視覚障害者に毎月届けているという。「おすすめのレストランやイベントの紹介など、思わずお出かけしたくなるような情報をたくさん届けたいですね」と優しい声を響かせた。
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