平塚版 掲載号:2018年1月25日号 エリアトップへ

元平塚市博物館長で、金田の郷土史本『わが住む里の江戸時代―かねだ―』を執筆した 土井 浩さん ふじみ野在住 73歳

掲載号:2018年1月25日号

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まちの歴史照らす研究者

 ○…昨年11月発行の金田村の郷土史本では、歴史研究者としての視点で、名もない村人たちの人生を見つめている。金田村史をつくる会から依頼を受け、地元住民らと一緒に地域に残る史料を洗い直した。「断片的な文書をつなぎあわせることで、江戸時代の暮らしが見えてきた。村人の人生を想像するのは楽しい作業でした」と、完成した本を手にほっとした表情を見せる。

 ○…北海道稚内市で生まれ、函館で育った。大学に通うため上京し、明治100年記念の神奈川県史の編纂に大学院生として参加した。研究の専門は江戸時代。卒業後は大磯町の学芸員を経て、博物館創設を控えた平塚市に職場を移した。「展示できるような史料は焼夷弾が1、2本だけだった」と目を丸くする。5年ほどかけて市内の民家を訪ね回り、歴史的な文献や遺物を足でかせいだ。

 ○…「目指したのは先進的な博物館」と、市民を巻き込んで地域の成り立ちを調査する在り方を模索した開設当初を振り返る。戦後50年の『空襲展』では自費でワシントンに渡米、軍が記録した写真やフィルム約100点を持ち帰り、空襲被害を伝えた。「特別展を催すことでまちおこしをやってきた。それにしても、妻がよくお金を出してくれました」と頭をかく。

 ○…木谷實や村井弦斎ら平塚ゆかりの人物の掘り起こしに尽力した。周知のために企画した弦斎まつりや囲碁まつりはすっかり地域に根付いている。調査を重ね、偉人の輪郭が鮮明になるほど、市民に知らせたいという思いがつのった。「甚大な空襲被害から復興したことや、文人が功績を残したことは、自分のまちに誇りや愛着を持つきっかけになる」。市内の歴史を長年にわたり追求し、今でも「平塚の生き字引」として頼られる。「まだまだやることはたくさん。次は近代、自由民権運動などを掘り起こしたいですね」と研究者の目がキラリと光る。

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