平塚版 掲載号:2018年2月22日号
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自由民権結社の湘南社を研究し「鈴木房五郎」の論文を平塚市博物館に寄稿した 岩崎 稔さん 河内在住 74歳

地域に眠る偉人を発掘

 ○…「なぜ日本の近代化を担った人たちの思想が国民主権から国家主権へと変貌していったのか」と問い続けて半世紀。この謎を解明しようと明治時代に県央で活動した民権結社「湘南社」を研究する。昨年に同会会員「鈴木房五郎」の墓碑を発見。背面に刻まれた漢文約130文字を解読し、欧米思想を学ぶために渡米した房五郎の人生と思想の特質を記した論文を寄稿した。在野の学者として地域に眠る偉人を掘り起こす。

 ○…3歳で母を亡くし、厚木市戸田村の「うなぎや」を屋号にもつ祖母や叔父、叔母の家で育てられた。熱中しやすい性格で、大磯海岸でヤドカリ獲りに夢中になり須賀まで歩いて帰ったことも。大正大学では西洋哲学を専攻し、物事の根源を問う姿勢を身に付けたが「学問は生涯にわたってやるもの」と中退。金属加工会社や福祉施設などの職を転々としながら、亡き母への追慕と親戚への感謝の念から、戸田村の地域史を調査するようになった。

 ○…「あの時は『時間が無い』が口癖だった」と、真っ直ぐ仕事場から帰宅すると15分で風呂と食事を済ませ、深夜まで机にかじりつく日々。日中戦争で死んだ親戚の陣中手紙をまとめた『或る戦いの軌跡』を出版、南京事件を記した資料としてさまざまな著書に引用される。自らの一族と故郷の民俗を描いた『うなぎやの歴史』では、21人に聞き取りを行い一人称視点でユーモアに書き出した。研究一辺倒の父の背を見て育った二人の息子は独立して現在、妻と二人暮らし。「家の事はほとんどやらずに没頭できたのは家族支えがあったらから」と頭を下げる。

 ○…「堀江弥八」「長峰浅吉」「後藤濶(かつ)」など湘南社には名前は判明していても、その生涯や思想が不明な者がまだ大勢いる。今年は明治維新150周年。改憲論議が活性化する中で「自由な発想で憲法を考えてきた彼らから学ぶことは多い」と、衰え知らずの研究意欲が一際燃え盛る。

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