匠の技術に国がお墨付きを与える「グッドスキルマーク」に認定された 水嶋 祥貴さん 万田在住 42歳
未来憂わず 今を重ねる
○…寡黙で堅気な職人気質といった印象はなく、「一生に一度のお買物に最善を尽くしたい」と語る眼差しは柔らかい。それでいて力強い。デジタル分野にも明るい42歳はSNSで印章彫刻の世界を広く発信する。今回のグッドスキルマーク認定については「安心して印章選びができる、その一助になればうれしいですね」と「お客様ファースト」を貫いている。
○…明石町にある「東曜印房」の長男として生まれた。110年の歴史を誇る老舗の3代目だった父の背中を見て育ち、保育園の卒園アルバムには「おおきくなったら、はんこやさんに」と書いた。大原高校を卒業後は専門学校で経営学を学び、愛知県にある印章店で修行。25歳で家業に入り、職業訓練校にも通いながら最高位にあたる一級技能士の資格を30歳で取得した。不惑の年に4代目となり、現在は4児の父でもある。
○…ペーパーレス化が進む世界を見つめて「印章という文化は時代に逆行している存在かもしれません」と冷静に語る。「ですが、出生届から死亡届まで用いられる印章は、一人ひとりの人生に寄り添う、パートナーのような存在でもあると考えています。いたずらに未来を憂うのではなく、ただ現在に全力を尽くす。印章を求めに来られるお客様に最大限の技術と思いを込めていきたいです」
○…年に一度か二度、妻や子供たちと楽しむキャンプがなによりの時間だという。将来訪れるであろう現役引退にふれて「息子に継いでくれとは言いません」ときっぱり。「やはり子供は親の背中を見て育つもの。”こういう職人”でなくても構わない。”こういう大人になりたい”と思ってもらえるように頑張らないと」。若き匠は一日一日をこつこつと大切に、全身全霊で重ねていく。
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