最高齢勝利記録を24年ぶりに更新した 三ツ井 勉さん 平塚競輪場所属 64歳
「意思貫く」競輪界の鉄人
○…24年ぶりとなった最高齢勝利の記録更新は「そうだったの程度」のどこ吹く風。何よりも今年初めて獲得した1着を喜んでくれる周囲の反応が「とても嬉しかった」と振り返る。レースはラスト1周を告げる打鍾と同時に中団から抜け出し、力強くゴールラインを駆け抜けた。「競輪の素質はない」と謙遜するも、「気持ちだけは負けたくない」と39年間、プロの世界を生き抜く。
○…20年前の平塚競輪移籍を機に、朝練を取り入れるようになった。早朝6時から自転車を使って3時間ほどグループ練習で汗を流し、コンディションと相談しながら空いた時間に筋力トレーニングを行うなど、気が付けば「練習の虫」と比喩されるほどになった。50代後半で時速60Km以上で走る自転車から落車し、選手生命を脅かす腰椎骨折を経験。体力の衰えを感じながらも、「治れば元通りになる」と自分に言い聞かせた。長く現役を続けたいと願う若手選手に向けて、気持ちの重要性を説く。
○…他界した妻との間に、1男1女の子宝に恵まれた。長男は高校卒業後の進路で悩んだ挙句、父の背中を追って競輪界に飛び込み、親子から師弟関係となった。当時は「向こうが避けていた」と感じていた競輪に関わる会話は、長男の実力が上がるごとに増え、「肩を並べて話せるようになった」と成長を喜ぶ。
○…1980年にデビューした125人の同期は次々と引退し、残りは2人だけとなった。競輪界は、半年ごとに競争成績の下位30人の選手登録をはく奪、引退を通告する厳しい世界だ。現在、自身も現役生活に黄色信号が灯っており、「挽回は奇跡に近い」としながら、「今さら練習量を増やすのではなく、基本に立ち返る」と最後まで足掻くつもりだ。
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