平塚市「津波浸水モデルシミュレーション」を作成した 山本 吉道さん 東海大学工学部教授 56歳
「平塚の津波」をCGで再現
○…平塚に津波が押し寄せた場合、市内がどのように浸水するのか。行政からの委託を受け、自治会などに配布するシミュレーション資料をコンピューターグラフィック映像などを交えて作成した。「想定した10mの津波が平塚海岸に押し寄せるのは、千年に一度の確率と考えられるマグニチュード8・5クラスの地震が、70〜80Kmという近海で起きた場合。これはとてつもなく低い確率で無闇に不安がる必要はないが、絶対に起きないとは言い切れない。日頃から、避難できる高い場所を探しておくべき」と、学者的見地から防災を呼びかける。
○…兵庫県で育ち、瀬戸内海を見て育った。工業用地に埋め立てられた海岸や沖を染める赤潮。泳げない海に胸を痛める一方、本州四国連絡橋の大構想に胸が躍った。海に関わる仕事を志望し、海岸や河川に特化した建設コンサルタント企業に就職。海岸浸食に関する環境調査などを研究していた。「ダムは必要だが、土砂を下流に流す仕組みが必要だ。海岸浸食は対処療法ではなく、根本的に維持管理のシステムを見直さないといけない」と話す。
○…「スマトラ島沖の地震津波以来、海岸防災へ寄せる社会的要請が大きくなった」と話す。現在は東海大の土木工学科で津波に強い構造物などを主な研究対象とする。「コンクリートの堤防は立派に見えるが、内部の砂が水中で吸い出され、基礎が脆弱(ぜいじゃく)になる危険性がある」と警笛を鳴らす。
○…土木技術者の後進育成も大きな仕事だ。道路や橋など、日本の都市基盤の設計や建築に関わる技術者は、”ものづくり日本”の屋台骨。「日本は四方八方を海に囲まれているのだから、海洋土木の仕事はなくならない」とも。「あきらめないことが大事だ。10回失敗しないと成功はないという忍耐力が成長を分ける」。社会の荒波に負けない学生を育てたい。
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