大磯海水浴場のライフセーバーを務める 原元 一樹さん 大磯ライフセービングクラブ所属 24歳
若き海のガーディアン
○…広い肩幅と健康的にやけた肌。青い夏空と浜辺が似合う若者は「今日も海を見てきた帰りです」と太陽のように明るい笑顔を見せる。3歳から水泳を始め、高校卒業まで競技水泳一本の毎日だった。ジュニアオリンピックやインターハイにも出場し、高校卒業時には複数の大学からスポーツ推薦の誘いもあったが、一切を断り東海大学へ。「泳ぐことは好きだったけれど、大会成績が伸び悩んでいたし…」と肩をすぼめる。
○…やりたいことを模索するなかで出会ったのが大学のライフセービング部だった。泳ぎには自信がある。「お遊び程度だろう」そんな入部前の甘い考えは、すぐに吹き飛んだ。プールでは勝てる相手に海では歯が立たない。絶え間なく変化する潮の流れ。体を翻弄するうねり。今まで知らなかった「自然」という新しい刺激。そして「人命を救う」という誇り。海の世界の魅力にとりつかれ、卒業後もライフセービングは自身のライフワークとなった。
○…海水浴場を見守るライフセーバーは、主に大学生が務めることが多い。自身も初参加から5年を数える。現在は大和市のフィットネスクラブで水泳のコーチとして勤務しながら、大磯ライフセービングクラブに所属し後進の育成にも力を注ぐ。「最近はライフセービングの競技会に参加するメンバーも増えてきた。練習はハードですが、必ずレベルアップにつながる」と言葉には熱がこもる。
○…休日も予定がない日は海を見に行くことが多い。「見ずにはいられない。そんな感じ。ここまで海が好きになるとは自分でも意外ですね」と笑う。これまで漂流者や軽傷者の救助はあったものの、この5年間大磯海水浴場での死亡事故は起きていない。「何人助けたかは誇りではありません。事故を防ぎ、万が一に備えて常に万全のコンディションを整える。それが大切」。海の厳しさを体に刻み、弛まぬ鍛錬を続ける若き守護神が夏の浜辺を見守る。
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