ラディアンで写真展を開くシャッタークラブの会長を務める 多田 靖幸さん 小田原市在住 78歳
レンズ越しの感動追う
○…11人の会員が所属するシャッタークラブで、四季折々の自然を写真に収めている。2月7日からは、28回目を迎える写真展を二宮町のラディアンで開催。「吾妻山に菜の花が咲く時期でもあるので、観光ついでに会員の作品も楽しんでもらえたら」と期待する。
〇…月1回の例会を開き、プロカメラマンの講評を受けながら撮影技術の向上に励む。年2回の撮影会では箱根や伊豆、日光など山紫水明な観光地を舞台に、お気に入りの景色を見つけては撮影に没頭。「仲間同士で訪れるのも良いですが、1人で自由に撮るのも気楽ですね」と、時間を見つけて単身旅行に赴くことも。北海道や裏磐梯では身を切るような冬の寒さも忘れ、美しい雪景色にシャッターを切った。
〇…岩手県花巻市生まれ。少年のころ、父親が蛇腹カメラで撮影した写真の現像を手伝うため部屋の一室にこもり、現像液の臭いが立ち込める中で仕上がりを見届けた。「あの経験があったおかげで、心のどこかに写真への興味があったのかもしれません」。本格的にカメラを始めたのは、定年を控えた50代後半に兵庫県へ単身赴任してから。真新しいフィルムカメラを手に大阪の万博記念公園へ出かけ、花壇に咲く紫のアガパンサスをファインダー越しにのぞき込んだ感動が、20年に及ぶキャリアのスタートラインだった。
〇…東日本大震災から2カ月が経ったころ、妻の実家がある岩手県大槌町を夫婦で慰問した。津波で堤防が崩れ去り、船が民家の屋根に乗り上げる悲劇のような光景の連続。目を背けずカメラを向け続けたのは、記憶を後世に伝え残すことが必要だと感じたからだ。数年後に義弟の依頼で提供した写真が、復興を期す地元住民を勇気づけたと感謝されたという。「記録することの大切さを写真が教えてくれました」という経験は、見る人の機微に触れる写真を生涯のテーマに掲げるきっかけにもなった。
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