平塚市美術館で企画展「花が咲いて存在に気が付くみたいな」を開催している 工藤 麻紀子さん 横浜市在住 44歳
小さな変化を楽しむ
○…マティスやボナールを彷彿とさせる色彩と装飾性で、ふとした日常を題材に心象風景を描く。近年ではニューヨークやロンドンでも展示を行い、海外でも注目を集める。7月から開催されている平塚市美術館での初個展で展示される作品には、一時アトリエを構えた平塚周辺の風景も。「金目川のせせらぎ、大山の緑、平塚の思い出が詰まっています」
○…青森県出身。絵を描くにも、大きな紙に小さく描くような内気な性格だった少女時代。将来は漠然と家でできる仕事を考えていたが、高校の予備校で絵画と出合った。女子美術大学では洋画を専攻し、日本画から彫金まで学んだが、熱中したのは油絵だった。「イメージ通りに描いても色の重なりやタッチで違った景色になる。それが楽しい」
○…身近な出来事や住んだ場所に対する思いを作品に投影させる描き方は、活動初期から一貫したもの。大学進学とともに神奈川県に移り住んでからは、海老名、座間、大和と転々とし、海に引かれて平塚の根坂間に5年ほど居を構えた。時に車、時に自転車を駆って金目川を上流までさかのぼり、高麗山の眺めからインスピレーションを得て作品を描く。「同じ木や花でも時季や時間、自分の心の在り方で変わって見える。そんな花が咲いて初めて気付くような淡い感覚を大切にしています」とほほ笑む。
○…横浜でメスの愛猫もめんちゃんと暮らす。家とアトリエが一体のため「ときどき外に飛び出したくなる」ことも。そんなときは、愛知や兵庫、地元の青森までドライブして自然を楽しんだり、各地の美術館を巡ったり。「これからは地元の美術館でも展示したり、海外の人にももっと作品を見てもらいたい」と口元をほころばせた。
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