2013年度神奈川県介護賞を受賞した 北村 貴さん 中井やまゆり園勤務 54歳
「心に寄り添う」介護を
○…福祉の分野に長年勤務し、顕著な功績を残した介護従事者が選ばれる同賞。今年の受賞者8人のうちの1人に選ばれた。「普通のことをコツコツと、自分のやってきたことが認められたのは光栄」と照れくさそうに微笑む。県職員として知的障害者の支援施設に勤務して33年。転勤で県内4つの施設を経験した。縁があるのか中井やまゆり園には2度目の勤務で、今年9年目。歩行訓練や作業活動支援を行う部門の班長として第一線で汗を流す。
○…「もともと学校の先生になりたかった」というが、障害児教育に惹かれ養護学校の教諭を志す。「でも、養護学校の教員資格は普通の大学じゃ取れないって後で知った」と、目標を見失う。そんな時に出会ったのが介護の現場だった。激務というイメージがある介護の仕事だが、いざ飛び込んでみると「抵抗感なく仕事に入れた。介護の勉強は独学だったから、最初は大変でした」と振り返る。主に知的障害者の支援を行うが、身体障害や発達障害を伴う人もいる。「一人ひとり接し方は違う。その人のことを受け入れて、心にどれだけ寄り添えるか。それを常に大切にしています」。絶妙な心の距離感は、ベテランならではだ。
○…家では母と娘2人の4人暮らし。娘は共に福祉関係の職場で働いているという。「福祉関連の仕事に就いてくれて、自分の仕事を認めてもらえているのかなと思うと嬉しいけれど、大変さも知っているので…。できれば長く続けてほしい」とエールを送る。
○…自立支援を行う同園では、ペットボトルキャップの選別やペンの組み立てなどを外部から請け負い、手先のリハビリを兼ねた軽作業を行っている。「ひと月働いて缶コーヒー1本分でも、自分の力で得た収入の達成感はとても大切な生きがい。これからも自立を支援する活動を継続し、模索していきたい」。和やかな眼差しの奥に、キラリと強い意志が見えた。
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