秦野美術協会の会長に就任した 磯 健太郎さん 寿町在住 63歳
己の中に火を燃やして
○…4月5日の総会で新会長となった。会員は69人。協会展と市展を柱に、会員交流の場としてスケッチ会や工芸部会展なども継続していく考えだ。「工芸部会がある会は珍しい」と話す。自身は45歳で入会。市展で入賞し、会員推挙を受けての入会だった。
○…生まれは逗子。子どもの頃は釣りや野球など活発に過ごした。「実は今、子ども時代に楽しかった遊びを繰り返している」と笑う。「形が面白い」と集めているサボテンも子どもの頃の趣味だとか。大学時代は学生運動が盛んな激動期。「あの頃は自分の中に色んな迷いがあった」と振り返る。中学教員の経験を経て大学の事務職員に。1975年、結婚を機に秦野市へ移り住み「自然豊かな秦野に来て、自分を見つめ直せた気がする」と話す。
○…40歳を過ぎて「何か残るものを趣味に」と考え、仲間と共に絵を描き始めた。技法などは独学だが、その時に仲間に言われた「技術より好きなものを描くことが大事。絵は楽しむものだから」という言葉は「目から鱗でした」と話す。自身の興味の矛先を探れば「『人』でした」。作業場に立て掛けられた絵にも「人」をモチーフとしたものが多い。「仲間は私の財産」と誇らしげな表情を浮かべる。旧友とだけでなく、仕事では学生との交流も多く、定年退職時は同僚や学生も祝いの席を設けてくれた。仲間との楽しいひと時が「人」への尽きぬ興味をかきたてるのかもしれない。
○…友人の「自分の中に燃えるものがある限り、それが青春」という言葉が今も印象に残っている。「はじめ『キャー、キザ!』と思いましたけど」と茶化すが、すぐ真面目な顔に。「でも本当にその通り。自分の中の火を消さないようにしていきたい」。言葉に収まりきらない思いを絵に込める。「そういう仲間をこれからも増やしていきたい」。一人の絵描きとして、新会長として、広がっていく輪に期待を寄せている。
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