秦野市消防本部消防長に就任した 小清水 俊明さん 下大槻在住 57歳
心に宿す熱き思い
○…今年は消防本部・消防署創立50周年の節目の年。歴代の消防長が築き上げた歴史と伝統を受け継ぎ、身を引き締めて体制を整えていくと誓った。課題として挙げたのは、高齢化による救急出動件数の増加や、新東名高速道路開通で求められるトンネル対応の準備。「結束力を高め知識と知恵を集結し、適切な判断を下し乗り越えていきたい」と話した。
○…人生の転換期は中学1年生の時に突然起きた。父親が交通事故で他界。前日までの生活が一変し、父親がいないプレッシャーがずしりとのしかかった。弟と妹を持つ長男として「自分がしっかりしなくては」と弱い部分を見せなくなった学生時代。「自分は瀕死になっても乗りたくない」。運ばれる父親を見ていたため、救急車に対して辛い思いしか持てなくなっていた。しかし就職の時期、偶然にも消防の採用試験を受ける機会を得た。「親を亡くすような悲しい思いをさせたくない」。その思いが一気に膨らみ、就職後は「乗りたくて仕方なくなった」と温かくも力強い眼差しを見せた。
○…仕事に打ち込む一方、休日も趣味のバイクで充実した時間を過ごす。他市町村の消防関係者や会社員のライダー仲間とツーリング。外から見た消防へのアドバイスをもらう時もあり、仕事へ還元されているようだ。1人で出かけることもあり、お気に入りのスポットは山中湖。「富士山が季節ごとに違う彩りを見せてくれる」と微笑む。
○…若手職員に対し、「自分の人生をよく考えていて、熱意を感じる。しっかり育ててあげたい」と期待を寄せる。組織の長として目指すのは、規律を守りつつより良い職場環境を作ること。一つひとつの仕事に意味があることを理解し、納得して取り組んで欲しいと願う。「この人に助けてもらえてよかったと、市民の皆様に思ってもらえるように」。穏やかな表情の中に、熱い思いが感じられた。
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