介護福祉施設でハーモニカのボランティア活動を続ける 菅 道一(すが みちかず)さん 緑町在住 69歳
響け音楽の力いつまでも
○…100曲以上の中から季節や好みに合わせて選曲し、大きな文字で歌詞が書かれたソングシートを持っていく。「顔が見えるから、歌詞カードは配らない。目と目でも会話ができるはず」。早期退職して13年、介護職に就いたと同時に始めたハーモニカボランティアは、介護施設の利用者が歌えることが前提。「非日常に触れ、昔を思い出し楽しんでくれるのがうれしい」。普段は表情の無いような人に笑顔が生まれることもあるという。「音楽には力がある」。力強く語った。
○…ハーモニカは父が小学6年のクリスマスにプレゼントしてくれた。それからというもの、ギターが流行っても、楽しい時も悲しい時も、傍らにはハーモニカがあった。結婚し2人の子どもが産まれるが、愛する妻がガンに蝕まれてしまう。切除手術をするも再発し、結婚10年も経たないうちに亡き人となってしまった。「彼女に大したことをしてやれなかった」と寂しそうに俯いた。「看取ることは、とても辛く悲しい。いつかそんな人の手助けができたら」。そんな思いから、介護とボランティアを「いつかやるんだ」と胸に秘めていた。以来男手一つで子ども2人を育て、今も毎月命日には、墓前に少しもの悲しいハーモニカの音色が響いている。
○…横浜に生まれ、小学生の時に父の仕事の関係で秦野に引っ越してきた。「良い友人たちに恵まれ、すぐに馴染んだ」。就職し離れていた秦野に昨年再び戻り「竹馬の友との親交を忙しいほど温めていますよ」とにっこり。かたわら息子夫婦と韓国に足を運び、現地でもボランティア活動に励んだ。「いつか意思疎通できるように」と毎週韓国語教室に通う。「東京五輪までには道案内ができる位にはなるよ」と意欲満々。「歳を重ねることを恐れないでほしい。『今さら』ではなくて『今から』ですよ」。力強く心地よいハーモニカのメロディーが、お年寄りたちに活力を与える。
|
<PR>