慶長型地震 川崎区の45%が浸水 死者5800人と試算
川崎市は5日、津波による被害を新たに追加した地震被害想定調査の結果を公表した。川崎市に最大の津波が生じるとされる「慶長型地震(M8・5)」では、川崎区の内陸部でも被害が出ると試算。市では、「津波ハザードマップを作成するなどソフト面を強化し、減災を目指していく」としている。
今回の調査は、神奈川県が1月に「1000年に1度」と言われている慶長型地震の想定を基に市が試算した。東日本大震災以降、市が津波被害に対して公表したのは初めて。
慶長型地震の震源地は、静岡県沖から房総半島沖と設定し、冬季の午後6時に発生したことを想定。
最大津波は3m71cm(満潮時)で川崎臨海部へ最大津波が到着する時刻は約96分後。浸水被害は、川崎区の45%にあたる約18・3平方キロメートル、建物被害は全壊が8棟、半壊約1万棟、浸水約4600棟となった。要避難対象者は約15万人(内陸部約13万人)で死者は、避難しなかった場合で約5800人(内陸部約5000人)にも及ぶ。地域別でみると、川崎区の殿町、夜光、浜町などをはじめ、内陸部では桜本、大島、小田などでも50cm以上の津波浸水が予想され、死者が出ると試算した。
今回の試算では津波のみに限定していることもあり、2次被害等を加えると、「死者はもっと増えるのではないか」との見方を市危機管理室は示す。
今回の調査結果を受けて、市は新たに津波避難計画を策定。津波による死者ゼロを目標に避難を基本とした対策に取り組む。
具体的な取り組みとしては▼津波警報や注意報が発表された場合、臨海部や沿岸、川崎区・幸区・中原区の多摩川河川敷などの浸水予想地域にいる人に対して伝達し、避難を促す▼避難場所や避難経路などの情報を掲載したハザードマップを作成し、浸水が想定される全戸に配布する▼公共施設や民間マンションを新たに避難施設に指定していく▼「自らの生命は自ら守る」といった観点に立って、家庭、学校、地域社会などで教育・啓発を行う▼対象地区には津波情報看板の設置整備を進める―など。
また、情報の伝達、津波避難施設の開設、水門や陸閘の点検・操作等の習熟、防災意識の高揚を図るため、津波避難訓練の実施も計画している。
同調査結果と川崎市地震防災戦略などの案については市ホームページ、かわさき情報プラザ、各区役所・支所・図書館などでも公表している。
問い合わせは、市危機管理室(【電話】044・200・2842)まで。
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4月26日
4月19日