今年、設立20周年を迎えた公益社団法人相模原市防災協会の理事長を務める 八木 繁雄さん 中央区相生在住 66歳
防災は隣人との挨拶から
○…「10周年式典と比べ出席者も多く、当協会の発展を感じた」。市の外郭団体として「災害に強いまちづくり」のため縁の下から行政を支えてきた。盛況のうちに終えた節目のセレモニーを振り返り、胸をなで下ろす。一方で「災害はいつどんな規模で起きるかわからない。被害にあわれた方にとっては”想定外”では済まされない」と、一転厳しい表情に。「日ごろ訓練しておけば有事に体が自然に動く」と市民や事業所に対し防災意識の向上を訴える。
○…比較的揺れに強いとされる相模原市にあっても、火災や河川の氾濫など災害の想定は尽きることはない。が、気がかりなのはハード面よりもむしろソフト面。相模原にも押し寄せる都市化の波が人間関係を薄め、じわじわと「隣人の顔が浮かんでこない」社会へ向かいつつあることを危惧する。「向こう三軒両隣、顔がわかる関係性が大事。毎日挨拶を交わしていれば、何かあった時に気にかけるようになる。それが地域防災のスタート」と語気を強める。
○…中央区矢部の生まれ。「富士見はすすきの原、星が丘は松林」という当時、遊びといえば木枝で弓矢を作ったりチャンバラごっこをしたり。中学時代は水泳に、高校では空手に打ち込む。中央大学を卒業後、石油類販売事業を営む実家の(株)八木商店に入社。52歳で代表取締役に就任した。市内の同業者で組織する県石油商業組合相模原支部の相談役、県危険物安全協会連合会理事ほか数々の要職を兼務。私生活では3人の子宝に恵まれ、正月は「家族でゴルフ」が恒例行事。
○…「人の幸福は”貢献すること”。ギブ&テイクというが、人のために尽くすほうが、満足感があるし自分の存在を感じる」としみじみ半生を振り返る。「南海トラフ地震が明日起こるかもわからない。市・企業・市民、皆で危機管理に取組み、防災を周知徹底していきたい」。市民の安全な未来へ、そして次の30周年へ向けて、力強く語った。