記者が見た、聞いた、感じた、を伝える あっとほーむデスク 11月6日0:00更新
「愛しい」と書いて皆様は何とお読みだろう。ほとんどの方が「いとしい」と音読するのではなかろうか。実は「かなしい」とも読む。かつて平安人(びと)にとって「かなし」は愛し、だった。「人間生活の中で一番大事な感情は愛、すなわち《かなし》だと思うのです」とは今号紹介した中野幸一さんの言葉だ。愛があればこそ嫉妬もし、世をはかなみもする。いとしく、せつなく、かなしいものなのだと。単なる色恋物語ではなく、そんな心の機微を鮮やかに描いたのが源氏物語だ。千年の間読み継がれてきた古典文学の傑作。翻訳にあたっては何より本文(ほんもん)の息遣いを重んじた。皆様もぜひご一読を。
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