生徒の自己肯定感を向上させ、自死防止を目的とした授業の実践に取り組んでいる神奈川県立横浜旭陵高校(上白根町、大野俊世校長)が、1月から授業の様子を希望する県内学校の教員らに公開している。
同校では昨夏、教員らが桜美林大学の小関俊祐准教授から「認知行動療法」を学んだ。
認知行動療法とは、ストレスなどの影響で物事の考え方や捉え方が狭くなったり、固くなったりした際、自由に考えたり行動したりするのを手助けする考え方。小関准教授の講習を受けた教員らは、10月以降、定期的に異なる複数の教職員で「ティームティーチング」で生徒の自己肯定感を高めるための工夫を凝らした授業を続けていた。
新学期を前に、同校は県内の学校に授業の公開を連絡。観覧希望の教職員を受け入れることにした。
1月17日に公開されたのは、数学と生物がコラボした授業。生徒たちは「弱肉強食」と思われがちな生き物の世界で、生態的地位(ニッチ)があれば繁栄できることを学んだ後、数学の確率統計の「偏差」を活用し、生徒自身の「ニッチ」を見つけ、「自分の良いところを数学的に証明する」ことに挑戦した。
同授業には県立川崎高校、横浜翠嵐高校定時制など複数の高校から教員が来校、授業を観覧した。伊勢原高校定時制の教員で、授業を参観した中野敏久さんは、「自信が持てずに学校を休みがちな生徒に自信を持ってもらうためにどうしたら良いか」「認知行動療法とはどういうものか」などについて質問した。
授業を終え、数学教諭の明石裕介さんは「一般的にマイナスに見える事でも見方を変えればプラスになることを認識し、自信を持つきっかけになれば」と期待を寄せた。生徒たちからは「自分のいいところが確認できた」「新しい自分が見つかった」などの前向きな感想が聞かれた。
同校では2月以降も同様の実践授業の取り組みを公開していくという。
警察庁の「自殺統計」から厚生労働省がまとめた資料によると、小中高生の自殺者数は増加傾向にあり、2022年は過去最多の514人となった。そのうち高校生は354人で約7割に上る。
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