長十郎梨に続く、川崎発祥の新種を市民の手で根付かせたい―。長十郎まつり実行委員会(石渡孝明実行委員長)が9月7日、若宮八幡宮(中村博行宮司)で、「長十郎梨収穫報告祭・梨新種結実祈願祭」を行った。
長十郎は大師地域発祥の梨で、区の木にも指定されているが、現在は市内で数軒栽培されているのみ。大師河原が長十郎梨のふるさとであることを伝える活動を、同実行委メンバーらは約10年にわたり続けている。今年は新たに「かわさき」と命名した新種づくりも企画し、「みんなで新種づくり委員会」を立ち上げた。新種の名称には「いつの日かこの街のいにしえを伝える梨となるように」、会の名称には「市民の皆の手による新種づくり」との思いが込められている。
当日は多摩区の嘉乃園で採れた長十郎梨を奉納したほか、新種づくりの取り組みが実を結ぶようにと祈願し、新種の種も奉納した。地域住民も参加し、用意されたプランターに種を植える作業も行い、自宅でも育ててもらおうと、メンバーは参加者に種を配布した。
中瀬の小森律子さん(67)は「長十郎の存在は知っていたけれど、こんな面白い取り組みがあるなんて。種は家の庭に植えてみようと思います」と笑顔で話した。
同実行委員会の阿部英夫さんは「100年後、200年後に自分達がつくった梨が残っていれば、それがこの街に生きた証にもなる。川崎に梨畑が続く風景があったことを後世に伝えていくためにも、新種づくりに多くの人が賛同してくれたらうれしい」と話す。
新種づくり用の種は希望者に約300袋を若宮八幡宮で引き続き配布する。「数百という数の苗木から突然変異で新種の実ができます。新種『かわさき』が文字通り結実する日を夢見ながら育てませんか」と、同実行委は、新種づくりへの参加を呼び掛けている。
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