▼街路灯の維持管理費が、商店会の財源を圧迫するケースが増えている。大型商業施設の台頭等で商店会加盟店や利用客が減り、財源に影響しているようだ。もともとは商業発展のために設置された街路灯だが、夜間の防犯にも一定の役割を果たしてきた。これを踏まえ川崎市は、電気代の6割を補助しているが、維持に不可欠な修繕費は商店会が全額負担。現状に合わせ、補助の割合を見直すときではないか。
▼老朽化が進む街路灯も各所で見られる。市によると1960年頃に設置されたものもあり、支柱が錆びるなど劣化が進行。安全面が問題視されるようになった。市商店街連合会の深瀬武三会長は「通行者の安全を考慮して修繕や建て替えをしなければならないが、費用が莫大」と吐露する。老朽化を見越して中原区のモトスミ・オズ通り商店街振興組合は20年前、国と市からの補助を活用し、1本120万円かけて64本全てを錆びにくいステンレス製に交換。組合関係者は「補助があるので実現したが、法人化されていない商店会では補助額が低いため難しいのでは」と指摘する。
▼コロナ禍での措置として、会費を免除または減額している商店会もあり、各会の財政は例年以上に厳しい。市は中小店で使える川崎じもと応援券を発行して地域経済の盛り上げを試みるが、7日時点で購入申込数が想定の5割に満たず、成功とは言い難い。商店会側からは街路灯経費の全額補助のような、現状に見合った直接的な支援を求める声もあがる。
▼市は、街路灯の維持が困難な場合、撤去の選択肢も提示している。撤去後は市の全額負担で防犯灯を設置し、町会・自治会の管理のもと夜間対策とする考えだ。だが、防犯灯は25メートル間隔という設置基準があり、街路灯のような明るさはない。商店街ならではの華やかさも薄れる。外部に依存することなく、地域経済を活性化させるためには商店会の存続は不可欠だ。商店会の財源圧迫を軽減し、発展を促すため、街路灯経費の補助率拡充について市は柔軟に考えるべきである。
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