川崎区殿町の石渡美由喜さん(80)が来年の春に吊るし雛の展示会を開催しようと準備を進めている。
吊るし雛は、ひな人形が高価で一般家庭ではなかなか買えなかった江戸時代に、着物の端切れなどを使い、心づくしの人形を作り、持ち寄ったのが始まりと言われている。人形にはそれぞれ、意味があり、「金魚」には優雅に泳ぐ姿から悠々と過ごす人生、「俵ねずみ」には食べるものに困らないようになどの願いが込められている。
石渡さんは20年ほど前から自己流で吊るし雛を作り始めたが、孫娘が生まれた14年前から指導を受け、本格的に取り組むようになった。もともと水墨画の指導を行っていて、すぐにその弟子たちに吊るし雛を教えるまでの腕前になった。
石渡さんは川崎駅東口のアートガーデンかわさきで、これまでに16回、展覧会を開催し、吊るし雛も4回展示してきた。多い時には1週間の会期中に2500人の来場者があったという。一昨年からはコロナ禍で中止に。年齢的に準備などが大変なこともあり、来年春の展覧会を最後にしようと考えている。
これまでに制作してきた約20本の吊るし雛に加え、現在制作中の160個の人形を吊るす大きな作品の展示を予定。展覧会終了後には作品を小学校、病院、老人介護施設などに寄付しようと考えている。
「過去の展示を見た人から、教えて欲しいと頼まれたこともある。年齢的に新しくお弟子さんを迎えるのは大変。それでも吊るし雛に興味を持ってくれて、どこかで始めるきっかけになればと思う」と吊るし雛への思いを語った。
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