麻生区黒川にある寺院「雲長山 西光寺」。同寺は戦時中、大島国民学校(現・大島小学校、川崎区)の学童疎開の受け入れ先になっていた。19代目住職の山中聡英さん(57)は、当時のようすとともに平和の尊さを子どもたちに語り継ぐ活動を行っている。「疎開中のことをご存じの方がいれば、ぜひ話を聞かせてほしい」と呼び掛ける。
「考えることが大事」
「戦争をしないためにしっかり考えて」――。山中住職は5月26日、はるひ野中学校(麻生区)で、生徒たちに呼び掛けた。同寺で受け入れていた大島国民学校5年生の男子児童23人の生活のようすを紹介しながら、ロシアによるウクライナ侵攻についても言及。「戦争をしないために、学び、意見を交わすことが大事。倫理観を持った大人になってほしい」と平和の尊さを訴えた。
託された思い
山中住職が講話を行うきっかけとなったのは、終戦から50年経った1995年。同寺に疎開していた男性2人が寺を訪ねてきた。当時の状況や生活について話し「戦争は良いことなど何もない。あんな思いは二度としたくない。ぜひこの話を次代に伝えていってほしい」と涙ながらに託されたという。山中住職は、当時を知る親戚らに話を聞いて回り、資料を集めて勉強を重ねた。
同中学校から依頼され、2010年から毎年講話を行ってきた山中住職。「回を重ねるごとに資料も増え、自分でも平和を考える良い機会」と話す。一方、寺を訪れていた当時子どもだった人たちから直接話を聞いたのは一度だけ。「もっと当時のことを知りたい。もしかしたらご存命の方も多くないかもしれない。身内の方や当時のことを聞いたことがあるという方は、ご一報いただけたら」と話している。
(問)西光寺【電話】044・988・6351
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