大きな災害が起きた際に、消火活動や地域の人たちの支援する「長竹災害時支援隊」が緑区長竹の自治会の有志メンバーによって、このほど結成された。消防団や自治会の自主防災部とは異なるこうした独自の組織が自治会で結成されるのは県内でも珍しいという。
長竹地区には、自治会の自主防災部と地元住民で結成される消防団の2つの防災団体があり、災害時や非常時に消防署と連携を取りながら活動を行っている。しかし、以前は主に地元の自営業者らが所属していた消防団も、現在は地元以外の会社勤めの住民がほとんどで、慢性的な人員不足に。さらには昼間の災害時に出動する機会が少なくなっているという現状を抱えているという。そうした課題を持つ消防団を支援しようと、自治会では3年前から検討委員会を設け、議論を交わしてきた。そこで、誕生したのが「災害時支援隊」だ。
消防活動と支えあい
同隊の主な役割は2つ。災害時に消防団、自主防災部と共に現場へ駆けつけ、後方支援を行うだけでなく、時には最前線に立って消火活動等を行うこと。もうひとつが、定期的に研修会や交流会を行うことで、地域の絆を深め、近隣住民で互いに支えあうことだ。
自治会内を12ブロックに分け、各ブロックに住む住人たちがブロックを担当する。隊には、過去に実戦を経験し、技術、知識ともに豊富な消防団OBや昼間に在宅している住民が参加。自治会に加盟する350戸のうち、157人が名を連ねる。平均年齢は57歳で、そのうち58人が女性。中には、看護師やホームヘルパーの資格を持つ人も参加しており、災害発生後、消防署や行政と連絡、連携が取れなかった際に、消火などの活動以外で救護や高齢者のケアなどが必要となった場合にも対応できるのも特長だ。
自分たちの街は自分たちで守る
県内に、消防団を支援する団体は海老名市や秦野市などにあるものの、それらは行政主導で結成されており、長竹のような住民主導で結成された防災組織は県内でも珍しいという。消防団OBで支援隊の隊長を務める伊藤礼治さんは「消防団は消防団で重要な役割がある。これだけの人数の方が参加してくれたというのは、関心が高い証拠。消防団で手の届かないところは、自分たちで街を守っていきたい」と意欲をみせる。さらに「地域住民で結成したことで、地域のこと、近隣に住む人たちのことを誰よりも自分たちが知っているのは活動を行う中で大きい。地域を結びつけ、支えあえる隊にしていきたい」と話す。
今後は、消防署の指導による訓練のほか、勉強会、親睦会を開いて技術・知識を深め、連携を強化して非常時に備えていくという。伊藤さんは「消防団はどこも人手が少なくなっている。他の地域にも、こうした活動を広めていきたい」と話している。
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