がん相談 体験者が対応 政令市で2番目に早い取組み
がん患者やその家族が抱える不安や悩みに応えようと市は今月より、がん体験者「がんピアサポーター」が相談に乗る「がんピアサポート事業」をスタートした。政令指定都市として全国で2番目に早い取組み。
がん患者やその家族をがん体験者がサポートする同事業。県では2010年度
より、相模原協同病院(緑区橋本)など、県内3カ所で実施している。一方、市では定期健診など、がんの早期発見に向けた取り組みを行ってきたが、がん発生後の患者の心のケアについては、健康相談や栄養相談等で質問があった場合、対応するに留まっていた。
しかし、中央区や南区においても、がん患者やその家族をケアする場が必要と考え、全市的に事業をはじめた。運営は、県のがんピアサポート事業を担うなど実績があり、がんと向き合うための情報発信などに取り組む「NPO法人キャンサー・ネット・ジャパン」(東京都文京区)に委託した(相談方法等は表参照)。がんピアサポーターは患者と行政サービスを繋げる役割も担う。例えば治療で収入を失う方には生活保護の窓口を紹介するといった流れだ。市では「少しでも患者の不安が和らげば」と話している。
体験者確保に課題
県事業として「がんピアサポート事業」を先行して進める自治体では、課題も指摘されている。
その一つは、相談を希望する患者やその家族の需要に対して、相談を受ける側のがん体験者「がんピアサポーター」の数が不足していること。市でも中央区と南区の2会場で毎月1回のがん相談を決めたが、「がんピアサポーターのスケジュールを抑えるのが大変だった」(健康福祉局担当者)と話す。
一方で、がん体験者によるがん相談の歴史が浅い日本において、個々の患者団体で、がんピアサポーターの能力がばらばらという指摘もある。がん患者の精神状態に充分配慮した対応が求められている。
厚生労働省では現在、がんピアサポーターの育成に向け、同事業を進める全国統一のカリキュラムの策定を進めている。事業を進める中で、市でもこうした国の動きなどを注視するとともに、市内にどれほどのニーズがあるかを確認しながら、課題や要望があれば、改善を進めていく方針だ。
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