大正から昭和初期にかけて活躍し、後年「日本のゴッホ」と称され評価を高めている画家・長谷川利行(1891年〜1940年)の未公開作品など41点を集めた「長谷川利行展」が11月8日(土)から27日(木)まで、橋本のフクヤマ画廊(橋本2の24の4)で開催される。現存する作品が少なく市場価値も高い長谷川の作品がこれだけ集まり、民間の画廊で公開されるのは珍しいという。
「藤田嗣治、梅原龍三郎ら日本を代表する画家のひとりである長谷川利行の展覧会を企画できて、美術に携わる者として望外の喜びです」と話すのは、今回展覧会を企画したフクヤマ画廊の福山茂さんだ。
長谷川は、京都出身の画家で、昭和初期の東京の下町やそこで生活する人たちの絵を描いて生活を送っていた。酒代を稼ぐために様々な人に絵を売りつけていたというエピソードがあるほどの破天荒な性格の持ち主で、パトロン的存在の人たちに支えられ画家活動を送っていたという。その絵はというと、独学ながら自由自在に技法を用いる荒々しいタッチが特長で、二科展などで入選歴はあるものの、世間からの評価が高い画家ではなかった。
評価が高まったのは没後。日本画家の巨匠・東山魁夷が初めて買った絵が長谷川の作品だったなど、その技法が改めて注目され、生き様やタッチが似ていることから「日本のゴッホ」と称されるようになった。
生前の評価が低かったこと、戦禍で作品が多数消失したことから現在、世に出ている作品は少ない。某テレビ番組で、一九三〇年協会展の出品作でその後行方が分からなくなっていた『カフェパウリスタ』が1800万円の値がつくほどで、市場に出回れば高値がつくことが多いという。
大型のガラス絵を初公開
今回の展覧会では、これまで未公開だったガラス絵など41点が並ぶ。これだけの作品が集まるのは2000年に神奈川県立近代美術館などで開催された展覧会以来で、民間の画廊で開催されることも珍しいという。
展示作品は、生前、長谷川の生活を支えた医師の鈴木達夫・うた夫妻が本人から贈られ、夫妻が戦後の生活のためになくなく流失したものを、夫妻の長男である鈴木大吉さんが買い戻したりして集めたものが中心となる。この鈴木大吉さんと同画廊の福山さんが親交があったことから、今回の展覧会は実現した。
「鈴木家と長谷川の関係、その作品と物語を明らかにしながら、昭和初期の東京が長谷川を生み出したこと、時代を超えた普遍的な力が作品に備わっていることを感じてもらえたら」と福山さんは話している。
詳細は、同画廊【電話】042・703・0002へ。
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