戦後間もない道志川を舞台にした児童文学の名作「三太物語」を映画にした『三太物語』が2月25日、津久井中央公民館で上映された。この映画は、道志川周辺を舞台に撮影されており「昭和20年代の津久井の様子がわかる貴重な映像資料として、多くの人に見てもらいたい」と、地元住民有志の尽力により、約65年ぶりに地元津久井で上映された。
「おらぁ、三太だ」の有名なセリフで始まる『三太物語』。1946年、児童雑誌「赤とんぼ」に掲載された青木茂氏の小説で、NHKの連続ラジオドラマとしても放映され、全国的に人気を博した。青木氏が執筆のために、宿をとった釣り宿はその後、三太旅館(三ヶ木)と命名され、道志橋下に現存し、青木氏からの礼状も残されている。物語には、道志橋、青野原道、与瀬、石老山など地元の地名が数多く登場。そのため、これまで「三太カード」「三太の里共和国」など、三太物語を活用した地域振興策が実施されてきた。
今回上映された映画「三太物語」は、4本映画化された三太物語シリーズの第1作目の作品で、1951年9月に公開。これまで、2013年には日連を舞台に撮影された第2作目の「花荻先生と三太」が藤野芸術の家で、第3作目の「三太と千代の山」が津久井中央公民館などで上映されてきた。そうした中、今回の上映会を企画した、自治会と行政で組織する「津久井中央地区まちづくり協議会」(八木猛会長)と市民団体「津久井中央地区まちづくり委員会」(内田幸一委員長)では、3年ほど前から映画化第1作「三太物語」を探索。神戸の民間会社にフィルムがあることがわかり、市などの協力を得てフィルムを復元し、今回地元津久井で上映会を開催することになった。
出演者4人が来場
上映会には、約330人の来場がある中、劇中で子役を務めた三太役の神戸文彦氏、留役の山口旦訓氏、定役の植松鉄男氏、お花坊の北村朱実氏の4人も参加。1時間24分の映画上映の後、三太かーど協同組合の秋本敏明副理事長をコーディネーター役に子役4人が「65年前も今も、津久井の自然は素晴らしい。映画を観るとあの当時の花や木々などのにおいの記憶がよみがえる」「今でも会うと、子役当時の名前で呼び合う」「6年前に4人で集まり、津久井の撮影地を巡った」などの秘話を披露した。映画の相撲のシーンに、地元エキストラとして参加していた人も来場者の中におり、和気あいあいと進んでいた。内田委員長は「三太物語は地域の財産です。今後も色々な形で発信していき、地域振興につなげていきたい」と話した。
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