2024年度中の供用開始をめざして相模原市が検討を進めている新たな火葬場整備の市民説明会が8月5日、津久井中央公民館で開かれた。市は、昨年秋に実施した地質調査の解析結果に基づき、最終候補地(案)となっている「青山」(帝京大学青山グラウンド)について「引き続き検討を進める」との方針を示した。
市町合併に伴う人口増や高齢化の影響で、現在南区古淵の市営斎場に併設されている市内唯一の火葬場は、2027年には火葬需要に対応できなくなると考えられている。
現市営斎場の改修も見込む中で市は、11年に市民や学識者らからなる「相模原市新たな火葬場のあり方等検討委員会」を設置。その提言を基に新火葬場の24年度供用開始を目指し「寺沢奥南」「土沢北」「青山」の3カ所に立地を絞り、青山を最終候補地(案)と決めた。
しかし一方で、青山は土砂災害(土石流)警戒区域に指定されており、さらに約600m離れた「地震峠」では関東大震災で山津波が起きた経緯があることなどから、地元からは安全面を疑問視する声もあがっていた。
このため市は、青山を最終候補地(案)としたまま昨年9月末から11月初旬まで地質調査を実施。その解析結果と今後の取組みを7月4日から27日にかけ周辺自治会へ説明し、8月5日に市民向け説明会を開催した。
決定前に説明会望む声も
19人が参加した5日の説明会で市は、青山の災害時のリスクに関して、グラウンドがある斜面全体で大規模な崩壊が起きる可能性は小さく、対策工事の検討は必要ないと報告。斜面下部は長期安定維持のためのり面緑化の保護方策は必要とした。
加えて、著しい被害を及ぼすような土石流が発生する可能性も小さく「砂防堰堤などの対策工事を検討するレベルにはない」とした。また雨水の排水処理に係る水路工の整備は考えられると説明した。
市は今後の進め方として「引き続き青山での検討を進める」と発表した。
参加者からは鶴川・伊勢原の2つの活断層に挟まれ地震峠も近い青山の立地を問題視する声や、「進入路が一つしかなく有事の際に逃げ場を失う」「排水処理はどうするのか」「今後の災害の想定がないのであれば、『可能性が少ない』という結果には納得できない」「長期的に存続する施設。慎重に進めるべき」といった意見があがっていた。また周辺道路などのインフラ整備、地域振興への質問や、「最終候補地の決定前に再度説明会の開催を」という強い要望もあった。
市は「調査結果、地元や市民説明会での意見、串川・鳥屋の地域振興協議会の意向を踏まえたうえで、候補地を決定するのか、案として説明を続けていくのか、できるだけ早期に見極めてまいりたい」と話している。
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