相模原市農業委員会内の農地あっせん委員会(尾形侯夫委員長)が、緑区青根地区の”棚田”の復元を目指した「農地再生モデル事業」に取り組んでいる。活動を開始した昨年は、稲の収穫までこぎつけたものの、乾燥時にイノシシの被害を受け失敗に終わった。「今年こそは地元の人に食べてもらえるように」と同委員会は6月2日、地域の農業委員やボランティアの人たちで代かき(整地作業)、田植えを行った。
棚田は、山の傾斜地に作られた水田で、日本の原風景として、全国の山間の地域でよく見られていた。ところが、1960〜70年代以降、地域の高齢化や過疎化が進み、耕作も重労働だったことから維持管理が困難となり、全国的に減少。市内にもいくつかの小規模な棚田があったものの、今ではほとんどが荒廃農地となっている。130〜140枚、約4万平方メートルと市内最大規模の棚田がある青根地区も、同様の理由から遊休農地化していた。
遊休化した農地を復元し、さらなる遊休農地の発生防止と解消に取り組む、相模原市農業委員会内の農地あっせん委員会は、同地区の棚田に着目。「農地再生モデル事業」として、美しい景観だけでなく、収穫・消費までのサイクルの復元を目指す取り組みを、地権者の協力を得て、昨年から始めた。
今年は鳥獣対策を
地権者から借り受けた水田は2枚(360平方メートル)。同委員会メンバーや公募のボランティアたちで、代かきから田植え、除草などに取り組み、収穫まで辿り着いた。秋に行われる農業まつりの中で、地域住民に精米して振る舞う予定だったものの、収穫後に稲を乾かしている途中、イノシシに食い荒らされ、計画は失敗に終わった。
「今年こそは地元の人に食べてもらうところまで」と同委員会が意気込む中、6月2日にその第一歩となる代かきと、田植えを12人で実施した。「去年の反省を踏まえ、今年は鳥獣対策も施してやっていきたい。秋には、皆さんに味わってもらうためにもやり遂げたい」と同委員会事務局の中島俊昭さんは話す。「まだ水田2枚と面積は小さいが、徐々に規模を拡大し、美しい景観の棚田を取り戻していきたい。そして、市の観光資源になるよう取り組んでいきたい」と話している。
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