義務教育未修了の人などを対象に学びの機会を提供する夜間中学の新設に向け、市内では行政、民間での動きが活発になっている。市では今年1月にアンケートを実施し、夜間中学へのニーズを把握した上で、今後の具体的な動きを模索。一方、民間ではとりわけ近年増加する外国につながりのある子どもへの学びの場として新設を望む声が多く、新団体を設立し行政に働きかけながら早期の実現をめざす動きが広がっている。
夜間中学は、戦後の混乱期に就労などにより義務教育を修了できなかった人を対象に中学校に付設された学級。1950年代には全国で80校を超えていたが、社会情勢の変化により、その数は30校ほどまで減少した。
ただ、近年は外国につながりのある子どもや不登校児の増加に伴い、学びの場として再び需要が高まっており、17年6月には全都道府県に1校は公立夜間中学を設置することを政府が閣議決定していた。
県内には横浜市、川崎市に公立夜間中学が設置されているが、域内人口比でみると8校設置されている東京都が約173万人に1校に対し、県は約459万人に1校だった。こうした状況を受け、県では17年5月に「夜間中学の設置に関する検討協議会」を設置。相模原市を含めた17市町村が参加し、新たな夜間中学の設置に向けた意見交換などを行っている。
昨年2月には、県全域を対象に夜間中学の入学希望者アンケートを実施。回答160人中、相模原市在住者は54人と最多で、他にも県央地域在住者の割合が高い結果となった。
広域対象も検討
市はこの結果を受け、市内のニーズを把握するため、今年1月に独自のアンケートを実施。入学対象者100人から回答が寄せられ、47人が夜間中学での学びを希望していることが判明。全回答者の約8割が、外国につながりのある子どもだった。
市の担当課では今後、アンケートの結果を分析しながら協議会などと連携し、市内だけでなく県央地域を対象にした広域的な夜間中学の設立も含め検討を進める予定。なお、設置場所や時期については未定としている。
「寄り添う学校を」
一方、民間では昨年6月に「相模原の夜間中学を考える会」が発足。同会は外国人支援を行うさがみはら国際交流ラウンジで、外国籍の子どもらへの無料塾「ふちのべ学習教室」などを開催する会員が中心となり構成されている。
同会の宍戸佳子さんによると、無料塾に来るのは民間の日本語学校などに通えない経済状況の厳しい家庭の子どもが多いという。日本語学校に通えず、特に両親が日本語を話せない場合は、公立中学に進学しても日本語の習得が不十分で、授業についていくのが困難になり、進学先、就職先を得にくい状況にある。宍戸さんは、「意欲はあっても十分に学習できる環境にはない。夜間中学を整備し、誰もが義務教育を受けられる機会を確保すべき」と指摘する。
加えて宍戸さんは、夜間中学は様々な国籍、世代の人が通える場である、とした上で、「教室での出会いも大きな学びになるはず。設置するだけでなく、困っている一人ひとりに寄り添う場所になって欲しい」と期待を込めた。
同会は今後、夜間中学がテーマの映画上映会などを通じ、新設に向け機運向上を図る。
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