児童数減少の影響により、3月で146年の歴史を終える青根小学校(倉田秀文校長)の最後の卒業証書授与式が3月23日、青根地域センター集会室で行われた。新型コロナウイルス感染症の影響で、規模を縮小しての実施となった。同校唯一の6年生で、最後の卒業生となった山口咲雪(さゆき)さんは、「卒業はうれしいけれど閉校で悲しい気持ちもある」と語った。
卒業式は、新型コロナウイルス感染症の影響により実施の可否が検討された結果、来賓の出席を見合わせるなど式の規模を縮小。手指のアルコール消毒や室内の換気など感染拡大の措置を講じての実施となった。
温かい拍手に迎えられて入場した山口さんは、名前を呼ばれるとはっきりと返事をして、倉田校長から同校1258人目の卒業生として、卒業証書を受け取った。
倉田校長は式辞で、4月に最高学年を迎えた山口さんと話をした時のことを述懐。4人の児童で同校最後の学習活動を進める一年間について、「(山口さんは)今まで(一学年上の)姉を頼っていた自分を振り返り、自分への挑戦として前向きに捉え、最高学年として自分に厳しく取り組んでいきたいと話してくれた」とし、「青根小学校の最後の一年間をリーダーとして引っ張っていく咲雪さんの決意と行動を確信した」と述べた。そして、「決意通り、3人の先輩として、お姉さんとして、時には同級生のように接し、いろいろな活動を先頭に立って進めてくれた。青根の学びの集大成となる様々な場面で有終の美を飾ることができた」と山口さんを称えた。
在校生らが「送る会」
式典は通常の3分の1程度の約20分で終了。その後、換気をした広い体育館へと場所を移し、保護者やこの日に修了証を受け取りに来ていた在校生3人、地域住民らが駆けつけ「卒業生を送る会」が催された。
会では在校生3人が、みんなで声を合わせたり一人ずつ語りかけたりして卒業生に言葉を送る「呼びかけ」で、山口さんとの思い出を振り返った。それに応じて山口さんは、入学からの6年間を手に持った台本に目を落とすことなく一年ずつ振り返り、在校生をまっすぐ見つめて「別れの言葉」を伝え、「閉校になってしまうのは残念ですが、ぜひ他の学校に行っても青根小の良さを引き継いでいってください」と呼びかけた。また、地域の人や家族に向け感謝の言葉を述べた。
式を終えて山口さんは、「卒業はうれしいけれど、悲しいという気持ちもある」と閉校について述べた。式が実施できたことは「今までは普通にできるものだと思っていたが、これからもいろんなことが当たり前と思わないほうがいいということがわかった。(できないかもしれない状況は)衝撃的で悲しかったけれど、絶対にこれからも(みんなに)会えると思っていた。青根では、他では得られないようないろいろな力がついたのでたくさん発揮していきたい」と話し、「青和学園で同級生ができるのがすごく楽しみ」と進学する中学校での新生活に期待を寄せた。父親の山口麗王(れお)さん(36)は、「無事に卒業式ができて安心している。先生や地域の方々に温かく見守っていただき感謝でいっぱい」と話していた。
青根小学校は1873年(明治6年)に創立した。移転後に前身の校舎が一度焼失。1943年に建てられ県内唯一の木造校舎として市登録有形文化財の指定を受けていた新しい校舎が、2016年4月3日に発生した火災で再び全焼した。児童らは近隣にあった青根中学校の空き教室を借りて、新たな学校生活を送っていた。
そんな中、子どもの数が減り続ける青根地区では、市や学校関係者、保護者、住民らにより青根小・中学校の学習環境のあり方について協議が重ねられ、2020年3月で閉校することが、2018年秋に決定した。
20年4月からは、隣接地区にあり、同じく今年3月で閉校となる青野原小・中学校の校舎を活用して、9年間を小中一貫で行う義務教育学校「相模原市立青和学園」へ移行する。
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