市内の自殺者が増えている。相模原市によると、今年1月から10月までの自殺者数は99人(暫定値)。昨年の同期間と比べると31人増で、10月は1カ月間で16人の自殺があった。担当する市精神保健福祉センターの宍倉久里江所長は「新型コロナの影響がないとは言えない。不安がある場合、市の窓口などに相談してもらいたい」と話している。
自殺者は全国的に増えている。警視庁のデータによると、同じく1月から10月までの全国における自殺者数は速報値で1万7219人。10年連続で減少していた昨年の自殺者数の同時期と比べると160人増で、市の自殺者数もここ10年間は減少傾向にあったものの、コロナ感染者の減少が見られるようになってきた8月には二桁を超え、12人。9月は8人だったが、10月には16人と増えた。
精神科医でもある宍倉所長は「大きな災害など不安な出来事が起こった直後は『みんなも一緒。私もがんばろう』という気持ちになるが、落ち着いた頃に孤独感を感じる人が少なくないようだ」と話し、実際に2011年3月に起こった東日本大震災の時は秋以降に市内で自殺者が増えたという。「同年9月には23人。1カ月単位で見た場合、この10年間で最多だった」と宍倉所長。自殺は要因を一概に特定できないとしつつも、今年の状況をコロナによる影響であることを否定しない。
全国初の条例も
市は対策を進めてきた。10年に政令指定都市となり、それまで神奈川県が管轄していた地域の自殺対策を担う精神保健福祉センターなどの機関が市内に置かれ、3区それぞれに相談窓口を開設。13年には全国の自治体で初めて自殺対策に関する条例を施行し、地域への啓蒙活動を活発化してきた。昨年の人口10万人当たりの自殺者数を示す「自殺死亡率」は全国平均が16・0人なのに対し、市は10・2人。過去3年を見ても全国平均を下回っている。
宍倉所長は「健康や生活、仕事に関することなど悩み別の相談窓口がある。身近な人を自死で亡くされた方も一人で悩まず問い合わせしてもらいたい」と訴えている。市の電話相談窓口は「こころのホットライン」【電話】042・769・9819(年末年始を除く毎日。受付は午後5時から9時30分)などがある。
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