産後うつなどの予防策として、相模原市は1月1日から母親を対象とした支援事業を拡充した。具体的には、出産後の産婦健診や、助産院などでの「産後ケア」への一部公費助成。市こども家庭課担当者は、「今まで自己負担だった分、経済的なハードルを下げ、母親が気兼ねなく休息を取りやすくなるよう目指した」と話している。
産後はホルモンバランスの変化に加え、乳児中⼼の不規則な⽣活になることで、母親の心身疲労や産後うつが心配されている。今まで市では、保健師などが生後間もない子がいる家に訪問する「こんにちは赤ちゃん事業」を行っていたが、より継続的で多様な支援を求める声が上がっていた。
今回拡充される事業は2つ。ひとつめは、出産後の産婦健診の公費助成。今まで産後の健診は基本的には自費だったが、これを産後おおむね2週間と4週間の計 2 回まで、1 回上限5千円を市が負担する。また身体的な健診に加え、心のケアにも支援を拡充。産後うつなどの早期発見につながる「お⺟さんの気持ち質問票(EPDS)」を実施し、早い段階でスクリーニングすることで、支援を必要とする母親を適切な相談先に繋げる。対象は市に住民登録があり、産後おおむね2カ月以内の母親に限る。
ふたつめは「産後ケア事業」への公費助成。産後必要と思われる産婦に対し、産科のあるクリニックや助産院などへの「通所」「宿泊」、あるいは職員の「訪問」を通し母子へのケアを実施。保健師などからアドバイスを受けたり、子の面倒を見てもらっている間に母親が休息を取るというもの。同様のサービスを以前から独自に行う施設もあったが、基本は自己負担。今回から通算7日以内の利用を上限に公費助成され、利用者は1回3〜5千円の負担で済むようになった。
対象は、市に住民登録のある母親と子ども(1歳の誕生日の前日まで)で、【1】体調不良や育児不安がある【2】産婦健診で医師から同事業の利用を勧められた【3】家族からの支援が受けられない人、のいずれかに該当する人。利用するには、市のホームページから利用可能施設や条件を確認後、希望の施設に直接問い合わせを。市こども家庭課担当者は、「コロナの影響で実家からの人的支援が受けられず、一人で赤ちゃんと向き合う母親も少なくない。経済的負担が減った分、必要な人に幅広く利用してもらいたい」と呼びかけている。
「経済的に助かる」
南区にあるmarimo助産院では1月6日、30代の母親(南区在住)が「通所ケア」を受けに生後2カ月の乳児と来所した。昨年11月の出産後、同助産院で乳腺炎の相談をした際に同事業を知ったという母親は、「母乳トラブルで何度も利用することになるので、公費助成は正直助かる。それに今はコロナでなかなか人に会いにくい。誰かに話を聞いてもらうと頭が整理されていい」と話した。母親は育児相談や母乳ケアを受けた後、用意された布団で休み、3時間ほど滞在していった。同助産院の中島清美代表は、「出産退院後、すぐに一人で完璧に育児をこなすのは難しい。一旦助産院やクリニックなどでケアを受ける『ワンステップ』の場が必要で、それが助成されるなら更に利用しやすいのでは」と話す。
今回のような産後ケアの公費助成は全国的に広がっており、すでに町田市などでも実施されている。問合せは同課【電話】042・769・8344
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