いじめ問題や保護者とのトラブルなどの法的対応の必要性から、近年教育現場に弁護士「スクールロイヤー」(以下SL)を配置する動きが全国で広がっている。相模原市では、市の職員(特定任期付)として雇用し、市教育委員会(以下市教委)に常駐して相談業務などにあたることを想定しており、来年度中の登用をめざしている。
SLの対応業務の一例には、いじめ問題や児童・生徒の学校活動中のケガや事故、近隣住民とのトラブルへの助言、交渉などが挙げられる。設置の背景には、2013年にいじめ防止対策推進法が公付されたことや、教員業務の負担軽減対策などがある。同年には、大阪市で市教委が弁護士などに相談できる独自の学校支援事業をスタート。18年には、日本弁護士連合会が文部科学大臣にSLの整備を求める意見書を提出した。こうした流れをうけ、文科省は20年度、SLを全国に約300人配置する方針を発表している。SLが直接児童・生徒や保護者に対応する場面は少ないとされるが、法律の観点から中立的な助言を行う「縁の下の相談役」として注目される。
求めるは「即時性」
相模原市教委では今まで、教育現場でのトラブル時は市の顧問弁護士に書面などを通し助言を得ていたが、担当課である市教育総務室によると「基本は事後対応となるため、どうしても即時性に欠けるところがあった」と言う。さらに、「困ったことがあったとき、すぐに弁護士に相談できるという環境は教員の安心感につながる。また、起こってしまったトラブルに対して正しい初動対応を助言してもらうことも重要だと考える」と話す。こうした流れを受け、市は市の職員(2年間の特定任期付)として雇う「常勤制」のSL1人の募集を昨年12月から開始した。3月22日現在まだ応募者はいないが、応募期間を3月末まで延長しており、来年度中の登用を目指している。
同事業について、市内で法律相談所を営む弁護士の男性は、「SL自体はいい事業だと思うが、常勤かつ任期付きなので、今扱っている案件や任期後のことを考えると慎重になる。非常勤制にするか、逆に任期を設けず雇うなど柔軟な条件なら手を挙げる弁護士もいるのでは」と話す。
相模原市と同じ「常勤制」をとる県内の自治体は茅ケ崎市、厚木市、藤沢市で、相模原市で導入されれば4例目となる。詳細や問い合わせは、同室【電話】042・769・8280へ。
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