厚木の風景を描き続けて半世紀。かつてはあつぎ鮎まつりのポスターも制作した人がいる。そんな情報に訪ねたのが、妻田東在住の藤田不美夫さん(81)だ。
▽「僕のこと、あんまり厚木で知られていないんだよね」。そう話す藤田さんは愛知県の出身で、中学生の頃から絵を描いていた。父の「なんでも好きなことをやれ」という教えのもと、現在の武蔵野美術大学へ。あらゆる芸術を学ぶ一方で、教員になるための資格もとった。
▽いざ、自分の将来を決める段になってふと、思ったのが「創作を続けるには定職についてはいけない」。周囲が教員や、デザイン会社への就職を決める一方で、定職には就かず、デザイン会社でのアルバイトの傍ら創作を続けた。
▽厚木にやってきたのは1964年、30歳の時。結婚を機に移り住んだ土地だが、惹かれたのが風景の美しさだった。大山、丹沢、宮ヶ瀬…。その美しさを描き続け、気づけば半世紀。5月12日までアミューあつぎ5階で開かれていた個展には、多くの版画やデッサン、油絵が並び、受付近くには64年のあつぎ鮎まつりのポスターも飾られていた。「僕は賞を取ったこともなければ、先生の弟子になったこともない。すべて我流なんだよね」。そう笑う姿はなんともチャーミング。肩書きが重要視される世界ながらも、我流で制作をつづけた木版画は銀座の三越で長年販売され、多くの人の手に渡っていった。
▽現在は、痛めた頸椎の影響で木版画はできなくなったが、油絵などの創作は続けている。「好きなことをずーっとやり続けてきたからね。組織に属さず、自由に。これからも、きままに健康で。我流の絵を描くのみ」。創作意欲は途切れることを知らないようだ。
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