♯みゅーじっくコラム♭ 音楽の森 ピアニスト 倉本 卓
現在のピアノの原型を作ったのは、イタリアの楽器製作家クリストフォリ(1655〜1731)でした。それまでのチェンバロのような爪で弦をはじくという構造から、ハンマーで弦を叩くという新しいメカニズムを開発しました。
その後フランスのピアノ制作会社エラールや、ショパンが生涯愛用したピアノメーカーとしても知られているプレイエルなどにより、早い連打が可能となり、色彩豊かな音色を弾き分けられるピアノへと進化していきました。現代最高峰のピアノメーカー「スタインウェイ」が現れるまで、ピアノの弦は平行に張られていましたが、スタインウェイはそんな常識を覆す低音と中音域の弦を交差するという配置を開発したのです。これにより音の幅が広がり、大ホールでの演奏も可能になりました。19世紀後半こうして現代のピアノの構造は確立されたのです。
ところが最近、世界的なピアニストで指揮者のダニエル・バレンボイムが新しい構造のピアノを開発したというニュースがありました。このピアノは交差弦ではなく、平行弦を採用することで、より「透明な」音を出せるのが特徴だそうです。このバレンボイムの新方式を取り入れたピアノはどんな響きなのか、弱音はどこまで透明感が持続するのか、大変興味深いところです。近くバレンボイム自身によるお披露目の演奏があるそうです。
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