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横須賀・三浦 人物風土記

公開日:2024.05.17

視覚障がい者に向けたチャリティー朗読劇を主宰している
酒井 俊雄さん
佐野町在住 68歳

差し伸べる援助の手

 ○…障がい者や高齢者に向けた福祉活動を通して、憩いの場を提供する「市民の心をつなぐ会」の代表を務める。チャリティー朗読劇は3度目となる。きっかけは自身が汐入駅前で営む「カフェグレース」に通う常連客の一言だった。「私は視覚に障がいがあり、映画や芝居が見られない。耳で楽しめるイベントがほしい」。すぐさま馴染みの人にあたり、場をセッティング。店舗を会場に始めた。

 ○…2年前、手探りのなか少人数の演者で進めた朗読劇だったが、満員で好評を得た。「喜んでくれる顔を見るのが嬉しくて」。そこからさらに劇をグレードアップするため、収容人数が多い舞台を会場に選出。キャストを増員したり、稽古の時間を増やした。すべては”より楽しんでもらう”という奉仕精神からだ。

 ○…助けを求める人は放っておけない性質。建設会社で働いていた30代の頃、親友とも呼べる同僚の自死を目の当たりに。「何も力になれなかった」。今でも後悔の念が強く残る。そんな想いを抱えたまま迎えた定年。「困っている人に手を差し伸べて、心のよりどころとなる場を作りたい」。それがカフェという形になり5年前に開業した。

 ○…「死の淵を経験した自分だからこそ歩み寄れる」。親子関係に悩みを抱えたまま大人になり、25歳の時に自死を図ったが、間一髪で一命を取り留めた。「生き残ったのには何か意味がある。自分がこれから出来ることは何か」。いまも模索中だが、メンタルヘルスの自助グループや定期的なワークショップの開催など、悩みや相談がある地域住民の声に耳を傾けている。「まずは寄せられた声に応えられる人になりたい」。朗読劇はその第一歩だ。

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